今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。 今日のトピックは「応用行動分析学(ABA)」についてのその2です。
応用行動分析(ABA)は、発達障害の子どもへの療育にも応用が進み、様々な成果も得られています。ABA療育はプロのセラピストではなく家庭でも取り組めると言われているので、ぜひ記事を読んでみてください。
目次
ABA療育の基本的な考え方
応用行動分析学(ABA)は発達障害の中でも、自閉症のある子どもの早期療育にもよく使われています。
行動分析学においては人の行動や心の動きを個人とその周りを取り巻く環境との相互作用によるものであると考えます。つまり、「環境へのアプローチ」にも重点を置いているのがABAの特徴です。
個と環境へのアプローチとは
ABAでは、対象となる個人だけではなく、その周りの環境と及ぼしあう作用が行動や感情を形作っていると考えられています。
このことから、ABAでは個人だけでなく、周囲の環境にもアプローチします。
例えば、感覚過敏の子どもが学習や勉強に集中できないとき、子ども本人の問題を改善しようとするだけでなく、部屋の中の色を統一して目立たなくしたり、音のない環境にしたり、周囲の人にも協力をしてもらうことによって、集中できる環境に整えます。
▼ABA療育の全体像をつかみたい方はこちらのYoutubeも参考になりますよ。5分程度でイメージがつかめるかと思います。
問題行動を減らすためのステップ
子どもの問題行動を軽減したり無くすためには、次の三つの段階が必要です。
①原因を理解し特定すること
②適切な手法を知ること
③その手法を実施し続けること
まずは、①原因を理解し特定することが何をおいても一番最初に必要ですので、そちらについて解説していきます。
問題行動の原因を理解し特定する
現在の研究では、子どもの起こす問題行動のうちの大半の原因は次の4つの【強化子】に分類されると考えられています。
【強化子】とはすなわち、子どもの望みのことです。
問題行動は、「子供が自分の望みをかなえるために起こしている」と考えるのです。
では具体的に4つの強化子についてご説明します。
- 要求の実現
- 回避と阻止
- 注目欲求の実現
- 自動強化(感覚刺激)
1.要求の実現
「物が欲しい」「何かをしたい」など子ども本人の要求が引き金となって問題行動を起こしていることがあります。
例えば、買い物についてきた子どもがお菓子が欲しいと癇癪を起こすことで親に買ってもらうことができた場合、その体験が仇となり今後同じような場面で癇癪などの困った行動が増えることが予想されます。
2.回避と阻止
子どもが自らの行動によって嫌な状況を脱することができた場合、その行為が不適切なものであったとしても嫌なことを回避するのにつながると感じると、その経験が問題行動のきっかけとなります。
例えば、学校に行くのが嫌で仮病を使って休むことができた場合、「嘘をついて嫌なことから逃げ出す」行動によって不快に感じる場面を回避できたことから、今後も似た行動を繰り返すこととなるでしょう。
これは回避を原因とした問題行動です。
3.注目要求の実現
家族や先生、相手など周囲の注目を集めたいという欲求が問題行動のきっかけになることもあります。
例えば、大声を上げることで先生から注目を得ることができた場合、子どもにとって「注目」が問題行動を繰り返すこととなるきっかけにつながります。
他にも、友達に危害を加えることで親や先生からの注目を得られた場合などにも同じことが言えます。
4.自動強化(感覚刺激)
子どもの問題行動を生み出す刺激そのものが快感につながっていることから問題行動の循環のきっかけになることもあります。
例えばぐるぐると体を回転させたり唾を出したり入れたりする、手をしきりに振るなどの行動は、子どもにとって退屈や不安を紛れさせる感覚刺激であり、このことが行動を繰り返す原因となっていると考えられます。
▼次の記事ではさらに問題行動の分析を、実生活において行うケースについて解説します!
まとめ
- 個と環境へのアプローチとは、望ましい行動がとりやすいように環境を整えること
- 問題行動の原因を理解し特定することがABA療育の第一歩
- 問題行動は子どもが「自分の望みをかなえるため」に起こしている
ABA療育では、子どもへのアプローチに加え、環境整備も重要になってきます。そのためにも、問題行動の原因をしっかり特定することが重要とされています。
問題行動の裏にある「子どもの望み」に気付けると、関わりやすくなるかもしれません。
子育てをしていてよく思う「なんでうちの子はそんなことするの…」の裏には強化子=子供の望みがあると意識してみてくださいね。