今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「発達障害の子供が小学校で経験するトラブル」についてです。
小学校は子供が学業の面でも精神面でも、身体面でも大きく成長する時です。
集団で行動する事や時間を守りルールに従う事等、社会生活の基本を学ぶ時となるのではないでしょうか。
幼稚園や保育園とは異なり、多くの時間を机と椅子で過ごすことになります。担任の先生と補助の先生がいたとしても、保育園や幼稚園とは比べられないほど1人で行動することが求められてきます。
それまでは気にならなかった、発達障害の特徴が目立ってくるのもこの時期ではないでしょうか。
実際小学校の先生に指摘されて、病院を受診される方も多くいらっしゃいます。
では、発達障害の子供が小学校で経験するどんなトラブルがあるのでしょうか?
想定して何か備えておくことは出来るのでしょうか?
もし我が子がトラブルの原因になっていたら?
目次
トラブル例と発達障害の特徴
発達障害とは、生まれつきの「脳」の機能障害だと言われています。遺伝する可能性もあると言われていますね。その特徴は個人差がとても大きいということでしょう。
その為、「発達障害なので必ず小学校でトラブルに巻き込まれる、トラブルを起こす」ということは言えません。
ただ環境が変化する事は、誰にとってもストレスになりますよね。ストレスを感じると体は防御機能が働くので、それまで出来ていたことが出来なくなったりするかもしれません。疲れやすくなったり、頭痛がしたり。
発達障害の場合、その特徴によってはストレスが倍増されてトラブルにつながることが考えられます。
どんなトラブルが想定されるでしょうか?
忘れ物が多くなる
小学校って持って行くものが沢山ありますよね。学校によって違うかもしれませんが、給食袋・上履き・体操服・リコーダー・水着・書道の道具・絵具セット・お道具箱などなど。
ランドセルを背負った上に、重たい手提げを持って行ってます。授業で使うので必要なんですけど、準備する親も大変ですよね。
その上ほぼ毎日、宿題があります。
不注意
発達障害の特徴として、不注意、せっかち、落ち着きがない、忘れっぽいなどがあります。
宿題を忘れたり、持って行く物を忘れたり、水泳の授業があるのを忘れたりします。
本人には全く悪気はありません。
次の日先生に「持ってこなかったの?」と言われても「???」となってしまいます。「そんなこと言われたっけ?」という感じです。
悪気はなくても、困りますよね。必要な物を持っていないと。水泳で必要な水着を忘れたら授業を受けられませんし。隣の席の子に見せてもらえる教科書などはまだいいとしても、「毎日見せて」って言われるとちょっと嫌になるかもしれませんよね。
学習障害
もし学習障害があれば、話し言葉の意味を理解できないというケースも考えられます。例えば、先生が「明日、給食袋を持ってきてください」と言われたとします。意味が分からないので、持って行けないということですよね。
本人はみんなが出来ている事を出来ない自分について、どう感じるでしょうか。「自分はダメだ」と大きなストレスを感じるかもしれません。
授業中に椅子に座っていられない
小学校ではチャイムが鳴ったら席に着き、45分間椅子にずーっと座っていなければなりません。
しかも、ただ座っているだけじゃなく勉強をしないといけないのです。先生の話を聞いて、質問されたら答えて、黒板に書いてあることを自分のノートに写したり。
じっとしていられない
ADHDの子供の中には、じっとしているのが苦手という特徴の子供もいます。
じっとしているのが苦手な子供にとっては、45分座り続けるのは何て辛い状況なんでしょう。
我慢ができなくなると席を勝手に立って歩きまわったり、友達にちょっかいをだして勉強の邪魔をしたりしてしまいます。
感覚過敏
また聴覚が過敏という特徴の場合、周りの音が全て大きな音で聞こえてしまうんですね。そうすると、沢山の人が話している上、椅子や机のガタガタという音などが耳にガーッて入ってきたら我慢できなくなり教室を出て行ってしまう事も考えられます。
時には我慢できなくて、「わぁー!(うるさい!)」って大きな声を出してしまうことも想定しておきましょう。
友達ができない
親としてはクラスの子みんなと仲良く遊んで欲しいと思いますよね。でも発達障害の特徴によっては、お友達を作ることがとっても難しい場合があるんです。
空気が読めない
発達障害の特徴として、表情から相手の感情を読み取るのが苦手という場合があります。
相手が困っているのか嫌がっているのかが分からず、常に自分のペースで相手に接してしまうとどうでしょう。
「空気が読めないよね」と言われて、友達が離れていってしまうかもしれません。
感情のコントロールが苦手
別の特徴として、感情のコントロールが苦手というものもあります。
皆で一緒にゲームをしていても、負けそうになると癇癪をおこして泣きじゃくってしまうとか。毎回毎回そうなると、一緒に遊ぶのが嫌になってしまうかもしれませんね。
感情が高ぶって、友達をたたいてしまうケースもあります。力の加減が分からない子供の場合、力いっぱいたたいてしまうと相手にケガをさせてしまうかもしれません。
思った事をすぐ言ってしまう
発達障害の方の中には、思ったことをすぐ口に出してしまうという子供もいます。
特に相手のいい所や相手を褒める事ではなく、マイナスな事に限って言ってしまうようです。困りますよね。
「太ってるね」とか「その服、変だね」とか言われたら、どうでしょう。
喧嘩になるか、一緒に遊んでもらえなくなるかのどちらかになるのではないでしょうか。
授業についていけない
小学校では1年間のスケジュールが決まっています。それに合わせて授業を進めて、運動会や社会見学などが行われていきます。
子供の学習スピードは違いますが、スケジュールが決まっているので「出来るまで頑張ろう!」と立ち止まることは出来ません。
先生達も辛い所だと思います。
学習障害
発達障害の中には、学習面が特に苦手という子供がいます。
読むのが苦手だと、教科書を読んでも内容が理解できない場合があります。誰かが読んでくれたら意味が分かるのに。
書くのが苦手だと、宿題をするにもテストを受けるにも時間がすごくかかります。しかも綺麗な字を書けないことも多いようです。
黒板の文字を自分のノートに写そうとしても、黒板から目を話したら分からなくなるというケースも。
簡単な計算も苦手という場合もあります。足し算や引き算って算数の基本ですよね。そこでつまずいてしまうと、積み上げることが難しくなります。
不注意
先生の話を聞かないといけない時に、頭の中で他の事を考えてしまうようです。
椅子には座っていても、まったく授業を聞いていないという事になりますよね。
気が付いたらみんなの教科書が変わっていた(次の授業に変わってた!)なんてことになるかもしれません。
団体行動ができない
小学校ではチャイムがなったら授業が終わり、チャイムがなったら次の授業が始まります。また運動会や社会見学、遠足、体育館への移動等団体で行動することが多くなります。
衝動的な傾向があるとじっと待っていることが苦手で、何か見つけたら並んでいる列から急にいなくなってしまうかもしれません。
先生の指示が分からなくて、次にどうしたらいいのか分からなくなるという事もあります。
「今日は特別に授業の時間が変わります」など、急な変更があった時にパニックになってしまうかもしれません。
どれも発達障害の子供によくある特徴です。
対処法とは?
想定できるトラブルに備えてどんな備えができるのでしょうか?
先生との良いコミュニケーション
まずは子供の発達障害の特徴を正確に知ることが必要です。何が苦手で、何が出来るのか。
その上で担任の先生や学年主任の先生等、学校の先生との良い関係を築きましょう。子供の特性を伝え、どんな時にパニックになるかなどを話し合う時間を取ってもらいましょう。
発達障害は「脳」の機能障害なので、本人が努力してもすぐには出来るようにはならないでしょう。周りのフォローがどうしても必要になってきます。
そのフォローが無い場合二次障害を併発したり、不登校になったりしてしまうかもしれません。
覚えておきたいこと
小学校の通常のクラスには40人近い子供が集まっています。「自分の子供だけ特別に見て欲しい」という気持ちは、どの親も持っているという事は覚えておきたいですね。
「子供がいじめられている、適切なフォローを受けていない」と感じる時は、教育委員会にすぐに直訴するのはちょっと待ってください。まずは、担任の先生。そしてが学年主任の先生。その次に教頭先生。そして最後に教育委員会です。
療育を利用する
療育というプログラムを利用しましょう。マンツーマンで行ってくれるものやグループで行うものもあります。
出来るだけ早い時期に、その子の苦手を克服するトレーニングを始めましょう。
放課後デイサービス等、小学校に通いながらも利用できるものがあります。
専門家の力を借りて早く社会性を身に着ければ、学校での生活にも順応していけるかもしれませんよ。
放課後等デイサービス・アレッタでは、心身に障害のある小学校1年生〜高校3年生までの児童を対象にサービスを行っています。「朝起きれなくてよく遅刻するんだけど」「疲れやすいのも発達障害のせい?」といったいろんな情報を発信しています。
トラブルの原因になってしまったら
考えたくない事ですが、自分の子供がトラブルの原因になってしまっていたらどうしたらいいでしょうか。
学校内で起きたことに関しては、先生方にゆだねるしかない場合もあります。その時に先生がどのように対処してくださるか、子供の事で普段から良いコミュニケーションを取っていればそれほど不安に思う事もないかもしれません。
もし、誰かを傷つけていたとしたら。その時は子供と一緒にすぐに謝りに行きましょう。
何回も謝りに行くのは疲れてきますし、親の育て方が悪いと言われているような気がして落ち込んでしまします。でも悪い事をした時に謝るというのは、社会のルールです。そのルールを子供にも教えてあげる必要があります。
その時に、「こんなことをしたら、こんなことを言ったら傷つくんだよ」と繰り返し教えてあげましょう。
もしかしたら子供がトラブルを起こしてしまう時は、本人の中でストレスが溜まって我慢ができなくなっているのかもしれません。どんな気持ちなのか、話をよく聞いてあげることも大切です。
学校で何が大変なのか、どうしたいのか、それが分かればトラブルを防げるかもしれません。そしてお母さんもお父さんもいつもあなたの味方だよ、と伝えてましょう。
通級・支援学級という選択肢
小学校に上がる前でしたら、色んな選択肢を考えてみましょう。
普通に近くの小学校に行かせたい気持ちもあると思いますが、子供にとって何がベストなのかを考えることが大切です。
一般学級でできないことが多くなり、「自分はダメなんだ」と自尊心が低くなる可能性は否定できません。トラブルに巻き込まれる可能性も想定しましょう。
しかし、「社会に出たら同じ環境なので早く慣れておいた方がいい」と考えるのも一理あります。周りの子供に刺激されて、出来ることが増えたという経験者もいらっしゃいます。
その子の将来をイメージして、ベストな環境で学べるように助けてあげましょう。
「特別支援教育」とは、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものです。 平成19年4月から、「特別支援教育」が学校教育法に位置づけられ、すべての学校において、障害のある幼児児童生徒の支援をさらに充実していくこととなりました。
文部科学省:特別支援教育について
「一人も置き去りにしない 教育」を実現する事を目標とし、色んな事が検討されているようです。
色んな学校を見学に行ってみて、相談するのもいいですね。
通級
市町村や各学校によっても異なるかもしれませんが、一般学級に在籍しながら支援学級に通うという方法もあります。
全ての学校に備えられている訳ではないようですが、併設されている学校が近くにあればいいですよね。
その子にあった苦手克服のプログラムを考えてもらえるようです。
特別支援学級
小学校の中にさまざまな障害のある子供を対象とした、特別支援学級が備えられている所もあります。
子供の必要に応じて細かな支援が受けられるメリットはありますが、学業という面では通常のクラスよりは遅れることが考えられます。
通級や特別支援学級を利用する方法自治体ごとに違うようですので、お住いの市町村の窓口に問い合わせてみることをおすすめします。
まとめ
トラブルの原因になったりトラブルに巻き込まれたり、いじめの加害者になったり被害者になったり。
発達障害の子供に限ったことではありません。
子供は純粋だからこそ時に冷酷です。感情に正直というのでしょうか。
いいお友達に恵まれて、発達障害の苦手をフォローしてもらい元気に小学校に通っている子もいます。
小学校6年間という大きな成長の機会。誰もが学ぶ機会を与えられ、笑顔で生活できる社会になって欲しいと思います。
ご拝読いただきありがとうございました。