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ワーキングメモリの機能を調べる方法
ワーキングメモリの機能を調べる方法は主に2通りです。
1つ目は、ワーキングメモリ測定のためのテストを用いる方法です。
もう1つはワーキングメモリが検査項目に含まれる知能検査によるものです。
ワーキングメモリを調べるテスト
詳細な測定がしたいなら、ワーキングメモリのアセスメントを目的にしたテストを受けましょう。
どの類の行動に困りごとが生じやすいのかもわかります。
代表的なテストは2種類あります。
AWMA
イギリスのピアソン社が販売するテストです。ワーキングメモリの問題をスクリーニングする際用いられます。
ワーキングメモリの4つの側面(言語的短期記憶・視空間的短期記憶・言語性ワーキングメモリ・視空間性ワーキングメモリ)の検査が可能です。
HUCRoW
広島大学大学院教育学研究科が開発しているアセスメントツールです。
日本の小中学生向けに開発されたもので、小・中学生の教育・療育関係者に限って無料で利用できます。
知能検査・認知検査の利用
ワーキングメモリ専用のアセスメントテストでなくても、検査項目にワーキングメモリがある知能検査や認知検査も参考にできます。
長所としては日本語に対応しているためデータの分析が簡単という点がありますが、専用テストのようにワーキングメモリの具体的な能力まで測ることはできないという短所もあります。
発達障害の診断目的で知能検査や発達検査を受けた際、ワーキングメモリの弱さが発見されることがあります。
では、ワーキングメモリと発達障害の特性にはどのような関係が見られるのでしょうか。
ワーキングメモリと発達障害の特性の関係
ワーキングメモリの弱さと発達障害の特性には共通点が見られます。
発達障害とは生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさや本人周辺の環境や周囲との関わりのミスマッチによって社会生活に困難が発生する障害のことです。
不注意による衝動的な行動や読字や書字の不得手などの症状がみられますが、これらはワーキングメモリの働きが弱い場合の症状と似ています。
そのため、この二つには関連があると考える専門家もいます。
ただ、現状関連を決定づける研究結果は上がっておらず、発達障害の診断がある子どもはワーキングメモリの数値が弱い傾向にあるというデートがあるのみです。
次にワーキングメモリの弱さと発達障害の特性に見られる共通点と関連について考えられている説を見ていきましょう。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)
不注意、多動性、衝動性の症状がみられる発達障害であるADHDですが、このうち不注意と衝動性の特性による困りごとにはワーキングメモリの機能の弱さにより情報を一時的に記憶、整理するのが困難に感じられることが関連しているとも考えられています。
LD(学習障害)
知的発達の遅れはないものの「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力に困難のある発達障害がLDです。
「読字障害」「書字障害」「算数障害」に分類されるLDですが、それぞれ複数原因があると考えられます。
「文字から情報を得て記憶できない」「書こうとした文字を記憶できず正しく書けない」「頭の中で数字の情報を短期記憶し活用できない」などの困りごとにはワーキングメモリの機能の小さが関係している可能性があります。
以上のように発達障害のある子どもの特性をワーキングメモリの働きの側面から捉えることで困りごとを軽減させるきっかけになるとも考えられます。