今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「応用行動分析学(ABA)」についてのその5です。
目次
ABA療育のメリットは?
ABAを用いた療育は、自閉症のあるこどもの早期療育のみに使われているのではなく、学齢期より大きな子どもにも用いられます。
1.子どもへのメリット
ABA療育とは、社会生活を過ごす上で課題のある子どもが対象です。この中には自閉症をはじめとする発達障害のある子どもも含まれます。
しかし、発達障害があるからといって、その子どもの行動の全てが問題となる訳ではありません。
ABA療育するにあたって、誰にとってどんな問題が起こっているのかを具体的に考える必要があります。ではどんな問題が解決すべきと捉えられるのか、三つに分けて紹介します。
本人・他者に危害や損害の及ぶ行動
男の子がお母さんや女性に抱きつくという行動を例に考えた時、本人が幼い頃なら問題にはなりませんが、中学生以上になってもその行動が続いていた場合、問題として認識されるようになります。
このような他者や本人に危害や損害を生む行動は問題行動と捉えられます。
他者を巻き込んだ上で周囲の活動を制限する行動
例えば、毎朝散歩しなくては気が済まない子どもがいたとします。
散歩すること自体は問題のない行動ですし、その子どもの自由です。
しかし、散歩している最中に他人が目に入ると文句を言うことがあったとします。
この場合は、他者を巻き込んだ上でさらに活動を制限していると言うことになるので、問題行動であると捉えられます。
子ども本人の学習や社会活動への参加の妨害となる行動
絵を描くことが好きで没頭してしまうという子どもがいたとしましょう。そのこと自体は子どもの特性であり、問題にはなりません。
しかし、絵を描くことに集中しすぎて他人の声が聞こえなくなったり、自分が呼ばれているのに反応できなくなると本人の学習や社会活動に支障をきたすことになります。
これは本人にとって立派な問題行動と捉えられます。
これらの問題行動を改善・緩和できれば、子どもの得られる自由度が上がるのはもちろんのこと、周囲を守ることにもつながります。
2.親へのメリット
ABAへの理解を深めることは、親にとってのメリットにもなります。
ABAを用いた療育では、行動のきっかけに着目します。
その途中で、大人は子どもがなぜ行動を起こすのか理解できるのです。
行動の原因が分かることは子どもの気持ちを理解することにもつながります。
「なぜこんな行動をとるのか」「どうして話を聞いてくれないのか」と悩んでいた大人も、ABA療法によって行動の原因がわかり、ストレスや悩みが軽減される場合があります。
つまり、ABA療法は子どものためだけでなく親のためにもなるのです。
ABA療育について、「分かりやすく・楽しみながら」説明した本が下記になりますので、参考にして下さい。
ABA療育のデメリットは?
ABA療育は、「定型発達児に近づける」ことを目的としすぎるとデメリットが出てきます。
というのも、感覚過敏など慣れさせることがどうしても出来ないことがあるのに、無理させると二次障害を引き起こしてしまうことがあるからです。
「定型発達」とは発達障害ではない「通常発達」のこと
ABA療育で目指すのは、日常生活を問題なく過ごす方法を学んだ状態です。
その為、「環境を整える」ほうで対処できるようになればOK。
その他のデメリット?
その他のデメリットとして、ABA療育がまだあまり日本では知られていないことなどから、ABA療育の対処法をみて、「犬のしつけみたいで…」などと言われるケースもあるそうです。
また、実際に取り組んでいる方で同じように感じている方もおられるようですね。
ですが、ABAは例えば「褒めて育てる」こととそんなに違うことをしているでしょうか?
ぜひ当事者ではない人の意見はさらっと流して、気にせずに取り組んでみていただきたいと思います。
まとめ
ABA療育のメリット
子どもの為だけではなく親にとってもメリットがある
ABA療育のデメリット
定型発達児に近づけようとし過ぎると二次障害などの恐れがある
ABA療育は、「人の気持ち」や「行動の原因となるもの」と本人を取り巻く【環境との関係性】に着目して考えるというものです。
問題行動の裏にある本当の子どもの望みが何かを考え、環境を整える考え方は療育する親御さんにとっても非常にメリットがあります。
ぜひ、問題になる行動に絞ってABA療育に取り組んでいただきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!