今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。 今日のトピックは「自分の子供が多動性障害かも?」についてです。
子育てをしていると、「魔の〇歳児」「イヤイヤ期」「反抗期」という言葉をよく耳にすると思います。この時期の子供は歩き回ったり自分の言葉で意思表明をするようになったりと、言うことを全く聞いてくれなくて親は毎日ヘトヘトですよね。 子供が暴れ続けたり、他の子供たちとは違う行動が続くと、「育て方が悪いのかな?」「何か病気なのかな?」と不安に思うこともあるかもしれません。
今回は「多動性障害」について今一度理解をして、少しでも子育てがしやすい環境が出来たらと思います。
目次
多動性障害って何?
多動性障害とは、いわゆるADHD(注意欠陥・多動性障害)の症状の一つです。絶えず動いている、椅子に座って長時間じっとできずに外に出てしまうなどの症状があります。
ADHDは発達障害という大枠の中の一つで、その他にはアスペルガー症候群、LD(学習障害)、自閉症などがあります。
発達障害には、特徴的な症状があり、それぞれ名称がついて分類されていますが、違う障害を併せもって発症することが多いです。
ADHDとその他の発達障害について
発達障害のそれぞれの特徴についてご説明します。この機会に、ADHDとの違いや、こんな障害があるんだなという理解を深めてみましょう。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)
ADHD(Attention-deficit hyperactivity disorderの略)は日本語に直すと「注意欠陥・多動性障害」です。すぐに何かに気が散って集中力が続かない、よく怪我をする、じっとしていられないなどの症状があります。
アスペルガー症候群
会話中の比喩や例え話が理解できない、暗黙の了解が分からない、ある物事に強いこだわりがある(収集癖)などの特徴があります。言語の発達などの遅れは無く、気付かれにくいため、対人関係に影響が出ることもあります。
自閉症
言葉や知的の発達に遅れが生じます。同じ動作を繰り返す「常同行動」が特徴的です。言葉の遅れが成長とともに改善される、または元々言葉の遅れがない高機能自閉症と呼ばれる症状もあります。
LD(学習障害)
知的発達に遅れはないが、話す、聞く、読む、書くなどの特定の能力、または複数の能力の習得が難しい障害です。相手が何を言っているのか分からない、文字を書こうとしても分からなくなるなど、学習面での障害が生じます。
ADHDと知的障害について
ADHDは基本的に知的能力の遅れはみられません。注意散漫になったり、じっとしていられないなどが原因で学習に遅れが生じることがありますが、知的障害とADHDは別の障害です。ですが、中にはADHDと知的障害が併発している場合もあります。
知的障害とは
18歳以前の状態で、知的機能の発達が年相応ではない状態のことです。病院でさまざまな検査を行い診断されます。IQ50~70程度は軽度、35~50程度は中度、20~35程度が重度、20以下が最重度とされています。IQと生活能力の度合いで障害の重さが判断されます。
多動性障害の症状って?
ADHDは大きく分類すると、以下の3つの症状があります。
- 不注意(集中力が続かない、気が散る、忘れっぽい)
- 多動性(たえず動き回る、落ち着きがない、動きがパワフル)
- 衝動性(思いついたら行動してしまう、行動を抑えることができない)
多動性障害は2.多動性と3.衝動性を合わせた症状が出ます。例えば、じっとするべき時間に止まっていられない、待てない、考える前に行動してしまう、すぐにカッとなって怒ってしまう、人が話し終わる前に自分がしゃべるなど、後先を考えずに行動してしまいます。
衝動性があることで、ちょっとしたことで友達に手をあげてしまい喧嘩っ早い性格だとレッテルを貼られてしまうことが多々あるのですが、年齢と共に少しずつセルフコントロールできるようになっていきます。このとき、問題児扱いをされつづけていると二次障害に陥る可能性もあるので、障害への理解と育てていく環境が大切なことが分かります。
障害があることで、叱責されたり疎外感を感じ続けた結果、自己肯定感が低くなり、反抗的で攻撃的な性格になってしまったり、うつ病になってしまったり、二次的な状態に発展してしまうことです。
多動性障害の原因は?
まだまだ分かっていないことがたくさんある発達障害ですが、近年、医療の進歩で脳の研究が進み、少しずつ分かってきたこともあります。
脳の機能障害が原因?
多動性の原因の一つに、脳の機能障害が挙げられます。ADHDの人は、 頭の中央近くにある尾状核(びじょうかく)という学習・行動制御をつかさどっている部分が小さいという共通点があります。また、尾状核の近くにある線条体(せんじょうたい)は運動機能・意思決定に関係しており、薬を投与すると、この部分に作用して多動を抑制できるという報告があります。
ADHDの人の脳を調べると、前頭葉の血流量が少ないという研究結果が出ています。この部分は思考・推論・感情・ワーキングメモリーをつかさどる部分で、注意欠陥が発症するのではと考えられています。
脳の「実行機能」の一つで、何かを行おうとしたときに必要な、脳のさまざまな働きの事。私たちは日常生活をする上で、無意識に脳内のさまざまな部分が働いて行動できています。その実行機能に障害のあるADHDの人は生活に何らかの支障が出ます。
子育ての方法が影響する?
ADHDや他の発達障害の理解が少ないと、症状だけを問題視してしまい、「親の育て方が悪い」と考えてしまう人も少なくありません。ですが、発達障害は育て方が原因で発症したり、後天性で起こったりする障害ではありません。
しかし、育て方によっては症状が悪化する場合があります。障害への理解が浅く、子供に怒り続けたり孤立感を感じさせ続けると、そのストレスや自己肯定感の低下によって二次障害になる可能性は充分にあります。
早い時期から病院で診断を受けたり、症状を見極めたりすることが大切です。苦手なことへのフォローと、得意なことを褒めてもっと伸ばしてあげましょう。自己肯定感を保ってあげることが大切です。
病院を受診するために必要なことは?
大学病院や、総合病院の小児神経科・児童精神科を受診しましょう。急に大きな病院に行けない場合は、かかりつけ医に紹介状を書いてもらうこともできます。
子供を病院に連れていく前に、「病院でお話して診てもらおうね」「痛いことは何もないからね」とお話しましょう。思春期になると病院に行くことを抵抗するかもしれませんが、「病院の先生に対策方法など教えてもらおう」と前向きな意思を伝えてみましょう。
準備すること
- 母子手帳や保育園、幼稚園で書いてもらう健康ノート
- 普段の家で出る症状をメモしておく
- 家以外の、幼稚園や学校での症状を先生に書いてもらう
- 小学校で本人が使っているノートなど
- 自身で、ADHDについてある程度調べておく
以上のことを可能な範囲でしておくと、診断がスムーズです。
定められた心理テストの診断基準・面談・普段の生活態度など総合的にみて診断されます。生活の様子が分かるものは、是非持参して判断材料に加えましょう。
家以外での様子が必要な理由
発達障害は、何かのはっきりとした数値から判断されるわけではないので、家庭の主観だけでは診断にブレが生じやすいためです。例えば、同じ「じっとしていない」という症状でも、ある家庭では気にしない範囲でも、ある家庭では常時落ち着きがないと捉えるなど、診断にブレが生じます。可能な範囲で家を含む2か所以上の場所で子供の様子が分かるものを準備しましょう。
早期治療が必要な理由
子供がストレスを感じ続け、自己肯定感が低くなってしまった結果起こってしまう、二次障害を避けるためです。
大人が発達障害について理解しないまま、子供自身の自尊心を傷つけえ続けた結果、障害が悪化し、反抗挑戦性障害や不安障害に発展するケースも見受けられます。
二次障害を避けるためには、 親もストレスを溜めないことがポイントです。 大人が発達障害について理解し、子供の症状を観察しましょう。周りや相談できる病院・施設などにお話をして、みんなで協力しながら気持ちの調和を保つことが大切です。上手に薬を利用したり、子供の苦手をフォローし、褒めて伸ばしてあげたりすることで、成長と共にADHDの症状が和らいでいった症例もあります。
以上のことから、早期治療をすることで二次障害を回避できる可能性があります。
まとめ
以上、多動性障害やADHD、発達障害について今一度確認しておきたいことをお話しさせていただきました。
もし、自分の子供が多動性障害なのでは?と不安になった場合は、まず障害について理解することから始めてみましょう。そして、診断名に関わらず、子供の症状に向き合うことが大切です。少しでも多動性障害や発達障害の理解に役立てたらと思います。