今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは、発達障害とテレビについてです。
最近はテレビだけではなく、スマホやタブレットを使って動画をみたりゲームをしたりする人も多いかもしれませんね。発達障害だからといって、テレビを見てはいけないとか、ゲームをしてはいけないということはありませんし、テレビやゲームが原因で発達障害になることもありません。
しかし、発達障害のある人はテレビやゲームに熱中してしまいやすいと言われており、人によっては日常生活に大きな支障が出てしまうことがあります。その意外な理由と依存するデメリット、そして防止策についてみていきましょう。
目次
発達障害のある人がテレビやゲームにハマりやすい理由
ADHD(注意欠如・多動性障害)の過集中
ADHDの特性のひとつである「過集中」により気持ちの切り替えがうまくいかず、いちどハマってしまうと途中で止めることが難しい傾向にあります。また、「我慢が苦手」「先延ばし癖がある」という傾向もみられるため、テレビやゲームに集中するあまり宿題をやらなかったり、寝食を忘れてしまうことがあります。
また、集中している間はよくても集中力が切れたとたんドッと疲れてしまい、何に対してもやる気が起こらなくなったり寝込んでしまうといった虚脱状態になることもあります。
ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)のこだわり
ASDの限定された「こだわり」により、一度興味をもつと過剰なほど熱中します。また「完璧主義」「白黒はっきりつけたい」という特性があると勝敗に執着するため、一旦ゲームを始めると中断することができないことがあります。
自己肯定感が低い
できないことが多く自信を失いやすいことから、発達障害のある人に自己肯定感が低い傾向が見られます。
自己肯定感が低いと「自分は必要されていない人間なんだ」「自分なんかどうでもいい人間なんだ」という感情が育ってしまいます。
その結果、人と交流したり、何か新しいことチャレンジしようという意欲が低下し、気がついたら家で1日中だらだらテレビをみて過ごしてしまっていた、ということになりがちです。
現実逃避
対人トラブルを避けたい
発達障害のある人はストレスを抱えやすく、慢性的な過緊張状態にいると考えられます。
テレビという一方通行な媒体は、誰とも交流する必要がなく娯楽や情報を得られるため、対人関係にトラブルを抱える発達障害のある人にとって依存してしまいやすいといえます。
バーチャルな世界で孤独や寂しさを埋めたい
誰とも交流したくないという思いがある一方、埋められない孤独や寂しさは、顔の見えない相手とオンラインゲームで対戦したりチャットすることで満たすことができます。
一見矛盾しているようにも見えますが、バーチャルの世界でなら可能なこともあるのです。
しかし、オンラインゲームの流行の影で、子ども達がチャットの中で個人情報を話してしまうことによるトラブルも発生しており、注意が必要です。
・保護者による使用制限により、他の人との自由なコミュニケーションやゲームのプレイ時間を制限することができます。Nintendo みまもりSwitch
私も面白いドラマに出会うと、続きが気になって見てしまいます!
テレビやゲームをやり過ぎるデメリット
言葉の遅れ
乳幼児期にテレビを見過ぎることが、必ずしも言葉の遅れにつながるということはありません。しかし、テレビの視聴を控えたことで言葉がでるようになった例は多く報告されています。
言葉の遅れがあり自閉症スペクトラムを疑ったけれど、テレビを止めてたくさん話しかけたり、絵本を読むようにしたら言葉が出るようになったという例も珍しくありません。
これには、テレビなどの一方的な刺激よりも、親子の対話のように双方向的な刺激を与える方が言葉の発達にはよいことが理由として挙げられており、2歳以下の子どもには長時間テレビを見せないことが推奨されています。
忙しいとついついテレビに頼りがちになってしまいますが、子どもの言葉の遅れが気になる場合は視聴を控えるか、時間を決めて視聴しましょう。
また、親が一緒にテレビを見ながら声がけをすることで双方向的な刺激を与えることができますよ。
視力の低下
令和元年の文部科学省による調査によると、裸眼視力が1.0未満の小・中学生の割合が過去最高となっており、眼鏡を必要とする人の割合が増えています。
眼鏡が必要な場合がある (視力0.3~0.7) | 眼鏡の常用が望ましい (視力0.3以下) | |
幼稚園児 | 7.03% | 0.60% |
小学生 | 13.18% | 9.38% |
中学生 | 17.67% | 27.07% |
高校生 | 17.40% | 38.98% |
視力の低下には様々な原因がありますが、長時間近くのものを見続けることによって近視になっていることも大きな一因です。テレビを斜めの方から視聴し続けると、眼球がゆがんで乱視になることもあります。テレビを見る際には次のことに心がけましょう。
✔長時間の視聴は避け、時々目を休ませる
✔部屋を明るくする
✔テレビから離れて視聴する。(ゲームをするならスマホよりテレビ画面で)
成長期の子どもは近視が進みやすいといわれています。お子さんが遠くのものを見るときに目を細めたりしていないか注意しましょう。テレビの画面に対して顔を斜めに向ける場合は斜視の可能性もありますので、早めに眼科を受診してください。
自閉症スペクトラムの子どもの中には、視力検査が苦手な子がいます。検査の前にやり方を教えて練習しておくのがお勧めです。実際に子どもが自宅で練習をしている動画がありますので、ご紹介します。
コミュニケーション能力が育たない
基本的にテレビは一方通行なので、他者とコミュニケーションができません。発達障害のある人は元々コミュニケーションが苦手な人が多いですが、ますます苦手になってしまいます。
オンラインゲームであれば相手や仲間がいるので多少のコミュニケーションを図ることはできますが、実際に顔を合わせるコミュニケーションとは異なります。また、ゲームを長時間続けることで家族間のコミュニケーションが希薄になることも懸念されます。
依存症による日常生活への支障
依存症はテレビやゲームに限らず様々なものに起こります。大人ではお酒やたばこ、ギャンブルに依存する人もいるでしょう。
依存している間は刺激によりドーパミンが大量に放出されて一時的にストレスから解放されますが、止めたときに様々な不調や日常生活への支障がでる場合があります。
学業的なもの
✔朝起きられず遅刻する
✔宿題を忘れる
✔不登校
精神的なもの
✔イライラ
✔ひきこもり
✔うつ
身体的なもの
✔運動不足による肥満
✔栄養不足による体重減少
✔体のだるさ
テレビやゲームとの上手な付き合い方
決めた時間内で楽しむ
人は何かに没頭してしまうと、つい時間を忘れてしまいます。
とりわけ気持ちの切り替えが苦手な発達障害のある人は、決めた時間になってもついそのまま続けてしまいがちです。
自分を律するためにも、タイマーやアラームを利用し時間をきちんと守って楽しみましょう。小さなお子さんの場合は、親がきちんと管理してあげたいですね。
タイマーに興味のある方は、こちらの記事も参考にしてください。お勧めのタイマーも紹介しています。
運動に置き換える
ゲームやテレビの代わりにマンガに依存していては意味がありません。外に出て、体を動かすことでストレスを発散させましょう。
運動することは健康によいだけではなく、脳への良い刺激にもなります。
運動が苦手な場合は、散歩をするだけでも構いませんよ。
距離をおく
時間を守る自信がない人は、思い切ってテレビやゲームを絶つのもお勧めです。
中途半端に続けていると、テレビやゲームが視界に入るたびに誘惑に駆られてしまうことがあるため、子ども部屋にテレビを置かない、ゲームは買わない、というように環境を変えて自制を促すのも効果的です。
とはいえ、テレビやゲームが心の支えになっている人もいるので、あくまで本人が依存症を認識しており、それを克服したいという気持ちを持っていることが前提です。
1日どのくらいの時間をテレビやゲームに費やしているか、睡眠に費やしているかなどを記録し、客観的に分析することで危機感をもつことができます。
まとめ
いかがでしたか?
発達障害のある人は、その特性からテレビやゲームなどに熱中しやすい傾向があり、中には依存症になってしまうケースもあります。
依存症になると学業・精神・身体におよぶ様々な面で支障が出ると言われ、テレビを長時間視聴することによる視力低下や乳幼児のことばの遅れも問題視されています。
とはいえ、興味や関心が広がりにくい発達障害の人にとって、テレビやゲームがきっかけで物事に興味をもち学習に繋がることもありますので、うまく活用していきたいですね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。