今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所になることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは発達障害好きな色についてです。

発達障害のある子供には好きな色と嫌いな色の傾向があることをご存知ですか?

この色は好きかも、この色は避けてるなぁなど心当たりがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。その苦手な色によってイライラを感じている場面も、もしかしたらあるかもしれません。

でも、何に対して怒っているのかなんて一見わかりませんよね。そのイライラに便乗して私もイライラ・・・なんてことが私もありました。できればもうそんなことにはなりたくないですよね。

そこでこの記事では、発達障害のある子供の苦手な環境を色に着目して考えていきたいと思います。もしかしたら、イライラの原因は色がもたらす刺激によるものなのかもしれないということも、要因の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。そしてそこからできる対策を一緒に考えていきましょう。

発達障害のある子供の好きな色は緑と茶色の傾向が。

色の好感度を調査した研究結果

自閉症児は黄色が苦手。緑と茶色は好き

私も自閉症のある方と一緒に活動する機会がありましたが、一色だけ使うという方や絶対に全色使うという方など人それぞれでした。一人一人個性があることは大前提として、この研究結果を知ったときは「なるほど〜」と感じました。

京都大学の正高信男霊長類研究所教授らによる自閉症児の色彩感覚における特徴についての研究結果です。この研究では対象を自閉症児と定型発達児に分けて、色(赤、青、黄色、緑、茶色、ピンクの6色)の好感度(4点満点)を比較しています。

結果としては、両グループとも赤と青は同程度の人気でした。しかし、6色のうち黄色と緑については大きく差が生じました。

定型発達児のグループでは黄色の好感度が2,9であったのに対し、自閉症児グループは2,1と0.8もの差がありました。赤と青はわずか0.2程度の差だったことから、かなり大きな違いであることがわかります。また、緑については定型発達児グループが2,3だったのに対し、自閉症児グループは2,9と0,7の差がありました。

この結果から傾向として、自閉症児は黄色が苦手で緑を好むということがわかりました。また、茶色についても緑と同じ傾向があり、両グループの差は0.6程ありました。

京都大学の正高信男霊長類研究所教授らによる研究結果はこちら

黄色が苦手で緑と茶色が好きなワケ

この研究結果、どうご覧になりましたか?知っているのと知らないのとではかなり違うと思いませんか?そうと分かれば子供にとって過ごしやすい環境を作るために色々とできることがありそうですよね。ただ、それにはまずちゃんと理由を知る必要があります。

黄色は色の中でも輝度の高い色と言われています。輝度が高く目立つ色というのは感覚的に危険を察知する色ということです。そんな刺激の強さが苦手とされる理由と言われています。逆に緑は輝度が低く、生理的にも安心する色とされています。自然界にも多く存在する色です。茶色についても同様で、刺激の少なさが理由に挙げられるようです。

発達障害の特性である感覚過敏とは?

感覚過敏とは

ある刺激に対して過剰に反応してしまう症状のことです。程度については個人差が大きいです。症状の範囲は視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚など多岐に渡ります。

ただ、発達障害があるから感覚過敏があるというわけではありません。また、感覚過敏があるから発達障害があるということでもありません。

感覚過敏の一つである【視覚過敏】

私は視覚過敏は明るさに対するものなのかと思っていました。朝、暗くしていた部屋のカーテンを開けて朝日を浴びるときの、気持ちいいけれど最初は少し「うっ」となるようなあの感覚のことだと思ってました。色に対してもその感覚があることは知らなかったです。

でも確かに、「目がチカチカするなぁ」なんて看板や宣言車を見て嫌な気分になったこともあります。障害の視覚過敏とは比べてはいけないのかもしれませんが、自分の感覚よりさらに強い刺激として受け取ってしまうとなると辛いものなのだろうと思います。

視覚過敏とは自閉症の特性とされる感覚過敏の一つです。視覚過敏は見たものが過剰に眩しく、刺激的に感じることで不快感を覚えるです。私が挙げたような太陽光や色彩によるものだけでなく、蛍光灯の光や白い紙でも起こるといいます。

また、本の文字が歪んだりすることもあるそうです。その状態で本を読もうと頑張ることで、頭痛を引き起こすなど身体症状が現れる原因にもなります。

周囲の勘違いと配慮の必要性

視覚過敏はじめ、感覚過敏は他人からはわかりにくい症状のため、誤解を生みやすいです。

実際に、私も色に視覚過敏があることは理解していませんでした。また白い紙を眩しく感じるということは今回初めて知りました。

周囲からはこう見られやすい

例えばテストの時に文字が歪む、白い紙が眩しいといった症状が現れたらどうでしょうか?せっかく頑張った勉強の成果もうまく発揮できないかもしれません。

しかし、視覚過敏について知らない人間からしたら、テストの点数が低いのは実力不足だっただけと判断されて、それでおしまいになってしまう可能性もあります。もし「この紙は眩しいので用紙を変えてください」などと提案しても、視覚過敏についての知識がなければ「それくらい我慢できるだろう」「気の持ちようだ」などと言われてしまうかもしれません。

または、「他の人は大丈夫なのにあなただけのためにそれはできない」と他の人と平等でないとして「あなただけそんなことを言ってわがままだ」と指摘されることも考えられます。

これらのことはテストの事例に限らず、日常生活の様々な場面に置き換えられるかと思います。今回は自閉症児は黄色が苦手という研究結果が発表されましたが、それにまつわる不自由さを抱える人たちもたくさんいるのではないかと思います。

周囲の正しい理解

周囲から「わがままだ」「それくらい我慢できる」などと言われてきた経験は、本人の中で次第にそういうものなのだという認識となってしまいます。本人ですら、我慢できない自分が悪いんだと思い込んでしまうのです。

本来、それらは我慢すべきことではありません。一人一人が自分の特性に合わせて生活をするということは障害の有無に関わらず、当たり前の権利です。周囲の理解があるかどうかによって本人ですら勘違いしてしまうことがあります。

そういった意味で正しい知識を持つことは大切なことです。また、その上で適切な配慮をしていく必要があります。そして本人も正しい認識をした上で周囲の協力を得ながら、自分の身を守るような行動を取ることが必要です。

対処方法

白い紙が眩しい、字が歪んで読みにくい

・少し色のついた透明のクリアファイルに用紙を挟む

・透明の下敷きを重ねる

・ブルーライトがカットされるメガネを使用する

・テスト用紙には色のついた紙を使用してもらう

・物で文字を隠しながら少しずつ読んでいく

光や外の風景が眩しい

・サングラス、つばが広い帽子を着用する

・外出は休憩を挟みながらゆっくり行う

屋内の物が眩しい

・カラフルな物は避け、なるべくシンプルなインテリアを心がける

・インテリアの変更が難しい場合は、眩しいものと距離をおく

・パソコンやスマートフォンは長時間の利用を避ける

まとめ

今回は発達障害児の色の好き嫌いを元に視覚過敏について紹介しました。色をはじめとする外部からの刺激によって日常生活に支障をきたす恐れがあるということがお分かりいただけたかと思います。

しかし、それは工夫次第で避けることができます。子供達がすくすく、のびのびと成長していくためにも周囲の理解は必要不可欠です。

知識がないということは、差別につながってしまうこともあります。まずは正しい知識を身につけて行くことが大切です。

最後までご覧いただきありがとうございました。