皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは、「食事でよくなる子供の発達障害」です。

2019年2月に出版されたばかり、発達障害児の保護者の間で気になる方が多いこの本について紹介したいと思います。

食事で本当に発達障害が改善できるのか、発達障害は治るのか、色んな疑問をお持ちだと思いますが、今日はそれを解決していきましょう。

これを参考に、「食事でよくなる子供の発達障害」の内容を実践するかどうかを判断する材料にしてみてください。

食事が関係?ADHDの子が漢字テスト満点&徒競走1位!?

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: life-862985_1280-807x538.jpg

まず、信じられない方がいるかも知れませんが、「ADHDの子が漢字テスト満点&徒競走1位」が現実に起きたのは本当です。

実は、本書の著者で家庭科料理研究家である、ともだかずこさんは、ご自身の子どもと栄養療法を実践したところ、この結果にたどりつけました。

では、ともだかずこさんはどのようにしてここまでの結果を出せたのでしょうか。本書では、精神科医師の藤川徳美先生の監修により、発達障害と栄養についてわかりやすく解説されています。

「隠れ貧血」を治す栄養療法

ともださんのお子さんは「注意欠乏多動性障害」と診断されました。この子が小学校1年生時の実際の症状は、運動能力が極端に低い、忘れ物が多い、ワーキングメモリが少ない、鉛筆が落ちても気づかない、などでした。

そして、藤川医師の指導を受けながら、親子で一緒に栄養療法を実践し、どんどん改善していったと述べられています。

表紙にも書かれていますが、ともださん親子が実践したのは、「隠れ貧血」を治す栄養療法です。では、貧血と発達障害には何の関係があるのでしょうか。

日本医学大学が次のような研究結果を発表しました。

本研究成果は、セロトニン療法が自閉症に効果的である可能性を示すものであります。 … セロトニン療法はセロトニンが減少している自閉症患者に選択的にアプローチすることが重要だと考えられます。

引用元:理化学研究所 日本医科大学  発達期のセロトニンが自閉症に重要

「セロトニン」という成分は主に、鉄分とタンパク質でできているので、セロトニンが不足しているということは、鉄分とタンパク質も不足していることになります。

よって、普段の食事から鉄分とタンパク質を積極的に取り入れることで、体内をセロトニンが増えやすくなる環境に変化していくんですね。

母である私も必要だった!

先にも述べた「隠れ貧血」は、普通の貧血とは異なり、ヘモグロビンが正常値でもフェリチンの数値が低い「潜在性鉄欠乏症」と、婦人科疾患などで起こる「鉄欠乏性貧血」の主に2種類を指します。

参照元:メディカルノート 日本女性の1000万人以上が隠れ貧血!?ヘモグロビン正常値でも疲れやすく息切れがあれば血液検査を

そして、お母さんが隠れ貧血も持っていると、生まれる子どもも隠れ貧血を持つ可能性が高くなります。ともださんも鉄分、さらにタンパク質も不足していたので、親子で一緒に栄養療法を実践したのです。

お子さんは、疲れなくなり人並みに運動ができるようになって徒競走で1位を取ったり、生活での困りごとがなくなった、授業に集中できるようになりました。

また、ともださんも、長年悩んでいた花粉症や便秘が改善し、体重の減量をキープできるようになりました。

さらに、ともださん親子だけではなく、他の親子の体験談も本書に載っているので、ぜひ手に取って読んで欲しいです。症状が異なるので、結果もそれぞれで異なりますが、体験談を読むことで挑戦する勇気をもらって欲しいです。

食事でよくなる!子供の発達障害posted with ヨメレバともだかずこ/藤川徳美 マキノ出版 2019年02月16日楽天ブックスで探す楽天koboで探すAmazonで探すKindleで探す

食事で積極的に取り入れるもの

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: child-559415_1280-810x538.jpg

鉄分

先に述べたように、隠れ貧血を治すためにはまず鉄分をしっかり取りましょう!と言っても鉄分の多い食品を食べるだけでは十分な鉄分を摂取することができません。

そのため、病院なでの診察してもらい「鉄剤」を処方してもらって飲む場合が多いです。錠タイプ50㎎と顆粒タイプ20㎎の2種類があるようですが、吐き気や腹痛などの副作用を起こす場合があるので、医師と相談しながら服用してください。

また、以下の動画をご覧いただくと、最初に隠れ貧血を含む貧血になる原因を紹介しており、9:03から効率的な鉄分の摂り方を紹介しています。

ここでは、「ビタミンCやA、βカロテン、タンパク質を同時に摂る」と説明しています。そのため、鉄分を摂る際はビタミンCやA、βカロテンを含む野菜と一緒に摂ることを忘れないようにしましょう。

動物性タンパク質

上記の動画でも、先の見出しでも述べましたが、セロトニンを増やす体内環境を作るために、鉄分とタンパク質を摂らなければいけません。

タンパク質は体を作る成分なのですが、その中でも主にお肉から取れる動物性タンパク質が良いと本書で述べられています。

タンパク質は20種類のアミノ酸で作られていますが、その内9種類の必須アミノ酸は体内で作ることができません。そのため、必須アミノ酸が多く含まれている魚や肉、卵の良質なタンパク質を得る必要があります。

良質なタンパク質を知るには、アミノ酸スコアを見るとよいです。アミノ酸スコアが100に近いほど、必須アミノ酸のバランスが良いとされています。そのスコアが100の代表的な食品は以下の通りです。

  • 鶏肉
  • 豚肉
  • 馬肉
  • あじ
  • かつお
  • さけ

参照元:栄養セルフケア検定オンライン講座

良質な脂質

脂質は体に良くないと思われがちですが実際はどうなのでしょうか。

この後にも述べますが、糖質を控えた食事をする時、脂質がメインのエネルギー源になる体質に変えていく必要があります。脂質がメインのエネルギー源になることで、疲れにくくスタミナ向上などの効果が得られやすくなります。

しかし、どんな脂質でもいい訳ではありません。良質な脂質の種類とどの食品に多く含まれているか紹介します。

  • オメガ3脂肪酸…魚介類(青魚の魚油や脂ののった魚)
  • オメガ6脂肪酸…ごま油、くるみ
  • オメガ9脂肪酸…オリーブオイル、ナッツ、アボカド

よくオメガ3と表示されたサプリを見ると思いますが、サプリはあくまで補助的なものであり、食事で摂れる分は食事で摂り、足らない量を補うためにサプリを加えるようにしましょう。

食事で控えた方がいいもの

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: child-2612927_1280-982x538.jpg

取り入れるべきものと一緒に、本書では控えた方がいいものも紹介しているので、その内容も見ていきましょう。

糖質

炭水化物である糖質を減らす理由は、体への負担やホルモンバランスの乱れによる精神面の影響を抑えることで、神経伝達物質のバランスと整えるためです。

参照元:ナチュラルクリニック代々木 発達障害における食事療法について

発達障害の子どもは肥満である子が多くいます。そのため、体重をコントロールするという点からも糖質制限で、その子に合った体重に戻していきます。

では、「糖質の多い食事をしているから発達障害になったのか」と聞かれる方もいますが、糖質が多い食事だから発達障害になったという因果関係は、医学的な根拠がありません

しかし、発達障害の子どもが糖質制限をして、授業中の態度が良くなったり集中すようになったり、返事ができるようになったり、保護者の言うことを聞くようになったりした経験談が多いのは事実です。

そのため、発達障害は一生治らない!と決めつけたり諦める前に、ちょっとした変化でも見られるかどうか、試してみてはいかがですか。無理のない範囲で少しずつ本書で紹介されている方法を取り入れてみましょう。

牛乳

上記のアミノ酸スコアに関して、参照元をご覧いただくと、牛乳もスコアが100になっています。長年健康に良いとも言われてきたので、一見牛乳も摂るべきだと思われがちですが、ここに落とし穴があります。

実は、牛乳にはカルシウムが含まれていてもマグネシウムがほとんど含まれていません。体に良いのはカルシウムとマグネシウムの割合が2:1なのですが、牛乳ではそれを補えません。

また、牛乳に含まれ動脈硬化のリスクがある良くない脂質や、有害物質に分解されてしまうカゼインという成分も含まれているので、体に良いとは言えません。

また、上の動画では牛乳に含まれているカゼインがどのような影響を与えるかを種類に分けて説明しているので、ぜひご覧ください。

インスタント食品&食品添加物

理解している方は多いと思いますが、インスタント食品や食品添加物は発達障害に関係なく、人体に悪影響を及ぼします。自然ではなく人口のものなので、基本的に体に不要なものを含んでいるからです。

しかし、現代でインスタント食品や食品添加物の入っていない食品は溢れかえっており、特に共働きの家族はよく買ってしまうでしょう。

本書でも述べられていますが、完全にこれらを抜いて全部手料理する!と考えてしまうと継続が難しくなります。今回の栄養療法でも、結果が目に見えて現れるには時間が要ります。

長期間で実践すると考えると「完璧にやる」という考えは、後が大変になってきますので、最初は我慢できる食品から買うのを抑えて、段々と減らしていけるようにしましょう。

長期的に改善に取り組む内容だからこそ、強制はしない見方で説明してもらっているのも、本書の読みやすいポイントです。

レシピ集

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: cook-1375788_1280-717x538.jpg

今までに、取り入れるべきものと控えた方がいいものを紹介してきましたが、では実際にどのように普段の献立で実践すればいいのでしょうか。

本書では、ともだかずこさんが実践したレシピがたくさん載っています。しかし、実践する上で心得て欲しいことも述べています。

繰り返しになりますが、徹底や完璧にこだわらないことです。

子どものためだと思って真剣に向き合い実践する保護者の方がほとんどでしょう。しかし、子どもからすれば、栄養がとれる食事ではなく、おいしい食事を選んでしまいます。

そのため、最初からすべてを完璧に!徹底する!という意気込みではなく、少しずつ取り入れていき、ちょっとの変化でも喜んであげながら実践していきましょう。

また、ともだかずこさんは本書の他にも、レシピだけが載っている「食事でよくなる子どもの発達障害 実践レシピ集」も出版しているので、こちらもぜひ読んでみてください。

食事でよくなる! 子供の発達障害 実践レシピ集posted with ヨメレバともだ かずこ/藤川 徳美 マキノ出版 2019年12月07日楽天ブックスで探す楽天koboで探すAmazonで探すKindleで探す

まとめ

  • 「隠れ貧血」を治す栄養療法が、発達障害の問題行動や生活で困る症状を改善できる見込みがある
  • 発達障害の方が食事で積極的に取り入れるものは、鉄分、タンパク質、良質な脂質である
  • 発達障害の方が食事で控えた方がいいものは、糖質、牛乳、インスタント食品&食品添加物である
  • 以上のことをふまえて本書では、普段の食事で実践しやすいレシピがついてくる(別冊のレシピ本もある)

「発達障害は治る」と言って欲しくない方は多くいますが、考えるべき点は、問題行動によってその子どもの生活に支障が出るかどうかではないでしょうか。

保護者として「発達障害を治す」ではなく、「問題行動を改善して生活に支障がないようにする」という捉え方で本書を読んだ方がいいかも知れませんね。

本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。