皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「発達障害 つり目」についてです。

発達障害にはたくさんの種類があり、外見からはなかなか気づくことのできない場合もあります。発達障害の方に出会ったものの、その障害に気づくことができず、配慮することができなかった……なんて経験のある方も多いのではないでしょうか。

そんななか、外見的な特徴により発達障害であることに気づくことができるケースもあります。その代表的なもののひとつが、つり目がちな目元が特徴のダウン症です。見た目で気づくことができれば、どのように接すればよいのか、考えることができます。

ここでは、見た目で気づける発達障害の代表として、ダウン症の特徴について解説していきます。

発達障害?そもそもダウン症とは

ダウン症とはどのような発達障害なのか、まずは正しく理解することからはじめましょう。そして、これから出会うさまざまな発達障害の方々との接しかたについて、考えていきましょう。

正式名は「ダウン症候群」(最初の報告者であるイギリス人のジョン・ラングドン・ダウン医師の名前により命名)で、染色体の突然変異によって起こり、通常、21番目の染色体が1本多くなっていることから「21トリソミー」とも呼ばれます。この染色体の突然変異は誰にでも起こり得ますが、ダウン症のある子は胎内環境がよくないと流産しやすくなるので、生まれてきた赤ちゃんは淘汰という高いハードル乗り越える強い生命力をもった子なのです。

引用先:公益財団法人 日本ダウン症協会

このように、高いハードルを乗り越えてうまれてきたダウン症の方々は、世界各国でおよそ800人〜1,000人にひとりの割合といわれています。「21トリソミー」がダウン症全体の95%をしめ、そのほかに「転座型」や「モザイク型」とよばれるタイプがあります。

ダウン症の特徴とは?

つぎにダウン症の特徴についてみていきましょう。

つり目がちな目元だけではない?ダウン症に共通する外見の特徴は?

ダウン症の方の外見の特徴はつぎのようにいわれています。

  • 目元がつり目がち
  • 両目の間隔がひろい
  • 鼻がひくい
  • 耳の位置がひくい
  • 平坦な顔つき
  • 身体全体が小柄
  • ややぽっちゃり

このようにつり目がちでよくにた顔つきになる理由は、骨の発達速度が影響しているといわれています。顔の中心の骨がゆっくり発達するのに対し、顔の周りの骨は普通の速度で発達するため、皮膚が外側にひっぱられてしまうためです。

また、顔つきだけではなく身体にも共通している特徴があります。小柄でぽっちゃり気味の方が多くみられる理由は、筋肉の緊張度が低いことや、心疾患などの合併症により運動が制限されてしまうこと、顎の力が弱く噛む回数が少ないことにより食べすぎてしまうことなどが考えられます。

ただし、あくまで個人差がありますので、症状の軽い方の場合、外見だけではダウン症とわからないケースもあるでしょう。

身体面での特徴は?

外見だけでなく、身体的な面でも共通する特徴があります。

  • 心疾患
  • 消化器系の異常
  • 眼科系の異常
  • 耳鼻科系の異常
  • 筋肉の低緊張
  • 関節の異常

代表的なのもののひとつが心疾患です。心臓に障害がある場合が多く、ダウン症の方の30〜40%がなんらかの心疾患をわずらっているといわれています。

また、食道や腸などの消化器系に異常がある場合もあり、うまれてすぐに手術が必要なケースもあります。

さらに、眼科系や耳鼻科系でも問題がある場合があり、治療が必要なケースが多くみらるのです。

そして、筋肉の緊張度がひくいことや、関節がのびすぎてしまうことがあるため、運動機能の発達や平衡感覚に影響がみられる場合もあるでしょう。

発達障害と思わせない行動力

このように身体にさまざまなハンデをかかえているダウン症の方々ですが、ほとんどの方が普通に社会生活をおくっています。では、ダウン症の方々はどのような職業についているのでしょうか?実際についている職業について紹介します。

  • 作業所などでの軽作業
  • 飲食店での調理
  • 小売業での接客
  • 書道家
  • ダンサー
  • 俳優
  • モデル
  • デザイナー
  • 音楽家

作業所などでの軽作業や、飲食店での調理、小売業での接客など、さまざまな分野で社会人としてはたらいています。

また、観察力や空間認知力などがすぐれており、書道やダンスなど芸術的な分野で活躍している方もいます。

そして世界には、俳優、モデル、デザイナー、音楽家など、きらびやかな表舞台で自分を堂々と表現し、大きな夢をかなえたダウン症の方も少なくありません。

2012年、国連は3月21日を「世界ダウン症の日」と定めました。21番目の染色体が3本であることからこの日にちが選ばれ、世界中でダウン症の啓発イベントが開催されています。世界各地でダウン症の方々が、自慢のダンスを披露したり、コンサートや写真展、書道展などを開催しています。

自分の好きなことや得意なことを全力で楽しんでいる姿が目に浮かび、とてもあたたかい気持ちになりますね。人生を力いっぱい楽しむエネルギーが、身体中からあふれているように感じられます。

しかし、その裏には障害のないわたしたちには想像もできないような、大変な努力があったのかもしれません。困難を乗り越え、自分の手で明るい未来を切り開く。その力強く輝やかしい姿に、とても大きな勇気をもらいます。

愛されキャラの内面

内面にも共通する特徴がみられます。

長所

  • 感受性が強い
  • 人の気持ちをくむことが得意
  • 思いやりがある
  • 人にやさしく接することができる
  • 人なつっこい
  • 明るい
  • サービス精神が旺盛
  • 空想力や想像力が豊か
  • 意志がつよい

感受性が強く、人の気持ちをくむことが得意です。そのため、思いやりをもって人にやさしく接することができます。

そして、人なつっこく明るいので、社会にうまくとけこみ生活することができます。

また、空想力や想像力も豊かです。

しかし、サービス精神が旺盛なあまり、たとえ自分が嫌な気持ちであったとしても、にこにこして我慢してしまうこともあります。

心身ともにストレスをためてしまわないよう、周りが気づいて接することが大切です。

短所

たくさんの長所があるいっぽうで、苦手なこともあります。

  • ことばを聞きとる力が弱い
  • 頭の中に情報を留めておくことがむずかしい
  • 抽象的なことが理解しづらい
  • 時間経過の把握がむずかしい
  • 長文を理解するのがむずかしい
  • こだわりがつよく、頑固

ことばを聞きとる力が弱く、頭の中に情報を留めておくことがむずかしいため、なにかを伝えるときには、具体的に説明する必要があります。ゆっくりと大きくはっきりした口調で、ていねいに伝えることが大切です。

そして、時間経過の把握がむずかしく、長文を理解することが苦手です。ひとつの文章の中に情報をつめこまず、ひとつずつ短い文章にして伝えると理解しやすいです。

また、言葉で表現することよりも、行動でしめすことのほうが得意です。自分のペースで行動しているときは、ベースを崩さずにあたたかく見守りましょう。

なお、こだわりがつよく、決まった行動をとりたがる傾向がありますが、本人にとっては意味のあるとても大切な行動なので、決して否定しないようにしましょう。

うまれたあとに気づいたら

まずは検査を

ながい妊娠期間をへて、わが子と対面する待望の瞬間。その瞬間は母子ともに人生のなかではかりしれないほど貴重な瞬間でしょう。

そんななかで、うまれた子がなんだかつり目がちな気がする。鼻も低いしどこかでみたことのあるような顔つきにみえる。

感動の瞬間から、いっきに不安と心配な気持ちでいっぱいになってしまうこともあるかもしれません。そのときの気持ちは、当事者であるお母さんとお父さんにしかわかりません。

ダウン症は妊娠中に検査などによりわかる場合もありますが、うまれたあとに検査をしてはじめてわかる場合もあります。

赤ちゃんの顔をみて不安になった場合は、まずは深呼吸をしてまわりの医師や看護師、助産師に相談しましょう。ダウン症かどうか判断するには、検査が必要です。

決してひとりでかかえこまずに、まずは信頼できるまわりの人と不安を共有し、ともに検査の結果をまちましょう。

もしもダウン症と診断されたら

そして、もしもダウン症と診断された場合は、ダウン症についての正確な知識を身につけ、これからの子育てにむきあえるよう、まわりと協力していきましょう。

心配なことがある場合は、必要に応じて専門家に相談することも大切なことです。ダウン症の方は乳幼児期から発達支援をうけると、発達が促進されるといわれています。

医師や看護師、助産師だけでなく、自治体の保健師やソーシャルワーカーなど、これからの生活に寄り添ってくれる専門家はたくさんいます。どこに相談してよいかわからない場合は、まずはお住まいの自治体の保健師に相談してみましょう。必要に応じて家庭訪問などを通じて相談にのってくれたり、利用できるサービスの案内などをしてくれます。また、他の専門家と連携をして、お子さんの生活のあらゆる面でサポートをしてくれます。

不安なことや困難なことがある時には、信頼できる味方がひとりでも多いほうが心の支えになります。家族や身の周りの方や専門家など、相談できる人をどんどん増やして、ひとつのチームとしてお子さんを育てていきましょう。

ダウン症の方と出会ったら

ダウン症は、遺伝的な発達障害ではないため、赤ちゃんのなかで一定の割合でうまれてくる可能性があります。

それにもかかわらず、つり目がちな見た目からダウン症だとわかり、理解のない人からは誤解をもたれることもあるかもしれません。

しかし、ひとりひとりが素敵な個性をもった、かけがえのない大切な命です。

もしもダウン症の方と接する機会がきたときには、ここで学んだことを思い出し、「具体的に説明すること」を心がけましょう。

また、必要な配慮が必要な時にできるよう、特徴についてつねに心にとどめておきましょう。

そして、ダウン症について理解のない人に出会ったら、ダウン症の方の底しれない魅力について教えてあげましょう。

まとめ

今回は見た目で気づける発達障害として、つり目がちな目元が特徴のダウン症について紹介しました。

しかし、ここに書いてあることがすべてのダウン症の方にあてはまるわけではありません。ひとりひとりの発達スピードや特徴にはもちろん個人差があります。

「ダウン症」とひとくくりにするのではなく、その方の個性を尊重しながら理解しあい、ともに歩んでいきましょう。

また、発達障害のなかには、見た目ではわからない障害がたくさんあります。知識のないなかでは、出会ったときにどのように接すればよいのかわからず、距離をおいてしまうこともあるかもしれません。

知らないことを理由に避けるのではなく、まずはひとつひとつ知ることからはじめていきましょう。