ソーシャルスキルトレーニング(SST)の方法

社会性を身につけるための訓練であるソーシャルスキルトレーニング(SST)には色々な実践方法があります。
SSTは、日常生活において人との関わり方をうまく把握することのできない子どもに効果的なトレーニングです。
ここではその方法について、代表的な例をご紹介します。

共同行動

共同行動とは、他人と相談をして役割分担や助け合いをしながら社会生活に必要なスキルを身につける実践方法です。
具体的には工作や調理がこれにあたります。「工作で何かを完成させる」「調理をして作ったものを食べる」という明確なゴールに向かう途中で人との関わりをもちながら社会性を育みます。
実際の体験の中でソーシャルスキルを身につけることができる、理想的な方法です。

ロールプレイ

場面ごとに適した振る舞いを身につけるため、指導者や子ども同士が実際に演技をしたり人形を使って見立てることで、日常生活の中での適切な行動を学びます。
実際の困りごとに少しアレンジを加えてトレーニングに反映させることで、より効果が期待できます。
課題となる言動に直接アプローチすることができるので、子ども一人一人に適切なトレーニングを受けさせられます。

ワークシート、絵カード、ソーシャルストーリー

ワークシートや絵カード、ソーシャルストーリーを用いて日常生活の中の問題を意識化させる実践方法があります。
ソーシャルストーリーとは、絵と絵柄が表している出来事が書かれたテキストのことです。
子どもが絵と文章を読むことで、場面ごとに適した振る舞いを学ぶことができます。
まだ文字を読むことのできない子どもの場合は、指導者が声に出して読み上げて理解してもらいましょう。
ワークシート、絵カード、ソーシャルストーリーにて扱う場面は、子どもの問題行動によって適切にアレンジをした独自のものを使うと効果的です。

ディスカッション、ディベート

議論をする場であるディスカッションやディベートを通じて、コミュニケーション能力を向上させる訓練ができます。
人の意見を聞いた上で自分の意見を口に出して述べることが必要になる議論は、人と会話する練習になります。
特に子どもが興味を示すようなテーマにしたり、参加人数や時間に工夫を施すことで、より効果が期待できます。

ゲーム

ゲームには、社会で生きていく上で必要となる技術を習得するための要素が多分に含まれています。
「ルールを守ること」「結果がどうあれ受け止めること」「仲間と相談して協力プレイをすること」などがこれにあたります。
社会性を身につける訓練を楽しみながらできるという点でも、ゲームは優れています。
ゲームを用いた指導を行う際は、子どもが何を目標にしているのかを意識して進めることが鍵となります。

このように、社会性を育むソーシャルスキルトレーニング(SST)の実践方法には色々なものがあります。
日常生活の中に取り入れられるものもあるので、家庭や学校で試しても良いでしょう。