今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害者向け面接質問対策」についてです。
就職活動・転職時に避けて通れない「面接」
苦手意識がある方も多いのではないでしょうか。
面接は面接官と求職者の心理戦です。
攻略法は「質問のパターンを知って対策しておくこと」
準備さえしっかりしておけば怖くありません。
発達障害をもつ方は、障害の特性から対人に不安がある方も多いと思います。
そんなあなたの面接攻略の一助になることを願って、面接の対策法を紹介していきます。
目次
【基本編】発達障害者の面接でよくある質問と回答のコツ
面接の質問にはかならず「質問した理由」があります。
「面接官は何を知りたいのか」それがわかれば求められる回答もわかります。
それだけで面接のハードルはぐっと下がり、会話もスムーズに進みます。
- 質問を通して面接官が知りたいこと
- 知りたいことにこたえる回答のポイント
この2点をおさえて回答を用意しておきましょう。
何度も練習することで自信がつくので緊張がやわらぎます。
自己紹介してください
「あなたがどのような人か」知るための質問です。
面接の最初の質問としてよく聞かれます。
自己紹介は1分以内でおさめるようにしましょう。
長く話しすぎると面接官が疲れてしまいます。
・あなたがどんな人か知りたい
・コミュニケーション能力をチェックしたい
・あなたの名前(フルネーム)
・現職(もしくは直近の仕事)の内容(会社名・職種・担当していた仕事)
・締めの言葉「本日はどうぞよろしくお願いいたします」
【Point】
趣味や特技など、あなたの人柄が伝わる話をおりまぜてもOKです。
自己PRをしてください
あなたが「会社に利益をもたらす人材か」チェックするための質問です。
あなたの長所や得意なことを伝えて「私を採用するとこんなメリットがありますよ!」とアピールする絶好のチャンスですね。
自己PRは1~3分以内でおさめるようにしましょう。
・あなたの強み(得意なこと)を教えてほしい
・その強みを業務でどのように活かせるか教えてほしい
・会社に利益をもたらす人材かどうかチェックしたい
・あなたの強み(長所)
・強み(長所)を裏づける具体的なエピソード
・その強み(長所)をこの会社でどのように活かせるか
【Point】
・エピソードは現職(直近の仕事)の実績をもとに話しましょう。成果をアピールする場合は具体的な数字を盛り込むと効果的です(「1年間で売上を2倍にしました」など)。
当社を希望した理由を教えてください
いわゆる「志望動機」といわれる質問です。
この質問もほぼすべての面接できかれます。
・うちの会社を選んだ理由を知りたい(なぜ同業他社よりもうちを選んだのか)
・うちの会社でやりたいことをききたい(やりたいことがある=熱意をもって長く働いてくれる)
・会社に魅力を感じた理由
・現職(直近の仕事)で学んだこと・得たスキル
・学んだこと・得たスキルを活かしてチャレンジしたい業務(応募職種とリンクさせる)
〇〇会社の退職理由を教えてください
退職理由をきいて、仕事に対するあなたの姿勢や人柄をチェックする質問です。
・仕事に対する価値観や考え方を知りたい
・責任をもって仕事に取り組んでくれる人かチェックしたい
・同じ理由で退職するリスクがないかたしかめたい
・会社を退職した理由
【Point】
・できるだけ前向きな理由を伝えましょう(「スキルアップのため」など)。
・ネガティブな理由を伝える場合は「同じ理由で辞めてしまうのでは・・・」と面接官に不安を与えないよう伝え方を工夫しましょう。
・人間関係が原因の場合→今は苦手な人ともうまく付き合うため○○などを工夫しています。
など、ネガティブな退職理由には補足を加えると安心してもらえます。
なお「発達障害の特性」が退職理由で今後もその点を配慮してほしい場合は、隠さずに伝えておきましょう。
もし隠して入社できたとしても、同じような状況になってつらい思いをする可能性があるからです。
仮にそれが理由で面接に落ちた場合は「私に合わない会社だったのだな」と考えればよいのです。
あなたの長所・短所を教えてください
自己理解に関する質問です。
「短所を伝えるとマイナスイメージでは?」と感じるかもしれませんが、短所がない人は絶対にいません。
「短所はありません」と答えるほうがかえって不自然でマイナスイメージです。
・あなた自身のことを理解できているか知りたい
・長所を仕事にどう活かして会社に貢献してくれるか知りたい
・短所を補うために気をつけていることを教えてほしい
【Point】
・発達障害の特性からくる気質を長所・短所にあてはめても問題ありませんが、短所の場合は「特性の影響でもある」ことを前もって伝えておきましょう。
その場合は次項「あなたの障害の特性について教えてください」に話が進むと予想されます。
・あなたの長所と、その長所を業務にどう活かせるか
・あなたの短所と、それを補うために工夫していること
似た質問で「あなたはどのような人だと言われますか」ときかれることもあるので、その時は聞いた内容をもとに長所を伝えるとよいでしょう。
あなたの障害の特性について教えてください
発達障害をオープンにして面接にのぞむ場合、ほぼ確実に聞かれる質問です。
面接官は発達障害の専門家ではありません。
そのため「あなたが仕事しやすい環境」について本人から教えてほしいと思っています。
この質問は採否(一緒に働けるかどうか)の重要な判断基準になります。
しっかり準備しておきましょう。
・あなたがもっている発達障害の特性について知りたい
・担当してもらう業務に影響が出ないことをたしかめておきたい
・あなたが「働きやすい環境」を整えるためにできることを教えてほしい
・発達障害の病名
・発達障害による特性
・特性の影響で苦手な業務、苦手を克服するために工夫していること
・得意な業務
【Point】
この質問とあわせて「あなたが働きやすい環境をつくるために、私たちが配慮したほうがよいことはなんですか?」ときかれます。
あなたが「こうしてもらえると働きやすい」と思うことをしっかりまとめておきましょう。
苦手なのでできない、ではなく「苦手を克服するために努力していること」「その結果できるようになったこと」を前向きに伝えることがポイントです。
発達障害の特性を説明するときは「ナビゲーションブック」とよばれる自己紹介書を活用すると便利です。
ナビゲーションブックの詳細やつくり方はこちらの記事をチェックしてくださいね↓↓
最後にあなたから質問はありますか
面接の最後にきかれる質問です。
単に質問がないか聞いているだけ?
いえいえ、ここにも面接官の意図が隠されています。
・質問するチャンスをあたえることで、あなたの疑問や不安をなくしてあげたい
・入社意欲の高さを知りたい(「聞きたいことある=会社に興味がある」と考えられます)
例)
・入社までに勉強しておいたほうがよいことはありますか
・私が担当する業務の1日の流れを教えてください
【Point】
・ホームページへ調べればわかるようなことは聞かないようにしましょう。
・入社意欲が伝わる質問がベストです(担当業務に関する前向きな質問は好印象です)。
質問したいことを面接前日までに考えておくとよいですよ。
「ありがとうございます。詳しくご説明いただきましたので質問はございません。」と、時間をつくってくれた面接官に感謝の気持ちをもって伝えましょう。
【応用編】対策しておきたい質問パターンと回答のコツ
就職活動・転職の面接では「そんなことを聞いてどうするの?」と思ってしまうようなことを質問されることもあります。
雑談のような問いかけであっても、裏にはかならず質問の意図が隠されています。
面接官の気持ちを学習して攻略法をマスターすることが面接突破のガキです。
あなたの趣味を教えてください
プライベートの過ごし方に関する質問です。
あなたの趣味のうち、長く続けているものや掘り下げて説明できるものを選びましょう。
好きなことを話している人はキラキラしていますよね。
あなたの魅力が伝わりやすい質問なので、少しリラックスして話すくらいがよいでしょう。
・あなたの人柄を知りたい(趣味はその人の個性が出やすいため)
・自己管理能力をチェックしたい(メンタル管理ができているか)
・オンオフの切り替えができているか
・あなたの趣味
・その趣味の魅力
・趣味を通してあなたのプラスになっていること(リフレッシュできる・体力がつく・脳トレになる、など)
【Point】
・一般的によい印象を与えない趣味(ギャンブルなど)は避けましょう
その場合は趣味の回答を応用して「私は〇〇が趣味なので休日はよく〇〇して過ごしています」と伝えればOKです。
趣味がストレス解消になるのであれば、この質問にも応用できますね!
最近印象に残ったことを教えてください
あなたのが興味を持っていることや視野の広さをチェックする質問です。
「関心をもったこと」という聞き方をされることもあります。
面接で質問された時は、最近のニュースなど時事問題に関する話題が無難です。
「社会問題に関心がある=会社の成長に貢献できる」とイメージしやすいからです。
・あなたの興味・関心から、あなたの人柄を知りたい
・日ごろから社会の動きにアンテナを張っているか、視野の広さはあるか
・問題に対して自ら考える力があるか
・あなたが気になっているニュース
・興味・関心を持った理由
・ニュースに関する自分の意見
【Point】
・芸能関係やゲームの発売日など個人的な趣味にとどまる話題は、質問の意図に沿わないため避けましょう。
最近うれしかったことを教えてください
人が心を動かされる時は、心が豊かになったり経験から学びを得る絶好のチャンスです。
そして体験を通して精神的に成長します。
この質問ではそういった成長体験をおりまぜると良いでしょう。
・あなたの「最近嬉しかった」エピソードから人柄を知りたい
・日ごろから社会の動きにアンテナを張っているか・視野の広さはあるかチェックしたい
・問題に対して自ら考える力があるかチェックしたい
・あなたの「最近嬉しかった」エピソード
・「嬉しい」と感じた理由
・できごとを通して感じたこと(あなたの心の成長を感じさせる感想がベターです)
【Point】
・芸能関係やゲームの発売日など個人的な趣味にとどまる話題は、質問の意図に沿わないため避けましょう。
「これまでで一番〇〇だったこと」という聞き方をされることもあります。
〇〇には他にも「悲しかった・苦労した・頑張った・感動した」などが入ります。
あわせて回答を考えておくとよいでしょう。
「ピンチはチャンス!」ピンチをイメージアップにつなげよう
面接では失敗がつきものです。
緊張のなかで完璧にふるまえる人はほとんどいません。
「面接では失敗するもの」と割り切って臨めばよいのですが、とはいえ失敗した直後は焦りますよね。
そんなときの対応法を紹介します。
言いたいことを忘れて頭が真っ白になってしまったとき
緊張のあまり言いたいことを忘れてしまうこと、ありますよね。
沈黙したりうつむいてしまうと、イレギュラーに弱い人だと思われてしまいます。
面接官は完璧な回答を求めているわけではないので、できる範囲で回答できればOKです。
話題がまったく思い浮かばない時は「少し考える時間がほしい」と伝えましょう。
誠実で真面目な対応なので印象を悪くすることはないでしょう。
それでも思い浮かばなかった場合は「申し訳ありません。考えがまとまらずお答えできません」と伝えましょう。
沈黙してうつむいてしまうより、よっぽど印象がよくなります。
少なくとも1分以内には答えを出せるようにしましょう。
話している最中に噛んでしまったとき
これも面接あるあるですね。
前提として「求職者が話している最中に噛む」ことは、面接官にとって珍しいことではありません。
したがってあまり気にすることではありません。
とはいえ面接に慣れないうちは慌ててしまいますよね。
「あっ」と思って話を止めてしまったときは、まず面接官に「失礼しました」と伝えましょう。
あとは深呼吸して言い直せばOKです。
筆者は求職者側・面接官側どちらも経験がありますが、噛んだ時に少し照れ笑いして「申し訳ありません」と言う人は愛嬌があって好印象でした。
面接の雰囲気が比較的和やかであれば一度試してみるのもいいかもしれません。
早口で話すと面接官も聞き取りにくいですし落ち着きのない印象を与えます。
マイナスイメージにつながることを質問されたとき
たとえば「急な残業が発生しますが対応できますか」ときかれたらどうしますか。
家庭の事情で突発的な残業が難しい場合などは「できません」と答えてよいのでしょうか。
口だけでうまくその場を切り抜けようと思っても、面接官は何となくわかるものです。
また、働きはじめてからしんどくなるのはあなたです。
したがって、その場しのぎでごまかすよりも正直に答えた方がよいでしょう。
とはいえ会社の以降に寄り添う姿勢はとても大事です。
その上で「できないこと」、それから代替案として「できること」を順番に伝えましょう。
「急な残業は発生しますが対応できますか」
「申し訳ありません。家庭の事情があり〇曜日と〇曜日は難しいことが多いと思います。それ以外の曜日は可能な限り対応します。また仕事の状況をみながら都度判断できればと思っています。」
このような回答であれば面接官も納得してくれるでしょう。
まとめ
以上、発達障害者向けの面接対策について説明しました。
・面接の攻略法は「質問のパターンを知って対策しておくこと」
・親や友人相手に何度も模擬面接することで、自信がついて面接にも落ち着いて臨める
・「発達障害の特性」はかならず聞かれる大事な質問なので、しっかり説明できるように準備する
・面接時の失敗やピンチは「うまくごまかそう」と思わず誠実に対応する
面接対策の一助としてぜひお役立てくださいね。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。