皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「子供の嘘つきと発達障害」についてです。

子供嘘つきになってしまった……そんな事態に直面したらショックですよね。誰かを困らせる嘘であったり、周囲を振り回すほどの嘘であったりすればなおさらです。
もしそれが、発達障害のある我が子だったら?

嘘つきになってしまった原因と発達障害の関係や、他の子と同じ対応でも大丈夫なのかなど、心配される保護者の方もいらっしゃるかと思います。

嘘は信頼にもつながりますし、
万一「嘘」がクセになってしまったら、将来の社会生活にも影響が出かねませんよね……。

嘘つきは子供同士の社会から孤立するばかりでなく、大人になった時にも社会的な信用を無くしてしまうかも知れません。
ぜひとも対策を立てておきたいものですね!

今回は「子供の嘘つきと発達障害」にスポットを当て、子供が嘘をつく原因、対応、対策に加え、発達障害ならではの気をつけたいポイントを盛り込んでお伝えしたいと思います。

※ お願い:記事をお読みになる前に…… ※

この記事では、子供の嘘に悩む保護者の方への解決案の提示として一部に発達障害と嘘の関係について取り上げていますが、これによって発達障害を持つ子が嘘つきになるなどという誹謗や中傷の根拠とはなりません。あらかじめご留意下さい。

目次

嘘は成長の証? それとも子供からのSOS?

「嘘(うそ)」は子供の成長の証であり、不安を知らせるSOS信号でもあるといいます。
大人が子供の嘘に直面した時、気をつけたいポイントは何でしょうか?

嘘は子供の成長の証

そもそも、子供と嘘にはどのような結びつきがあるのでしょうか。

子供は成長するにつれ嘘をつくようになっていきます
これは言葉を操る能力が成長している証です。

早くて3歳頃には嘘をつくことを覚え、4歳~6歳頃には最も多く嘘をつくそうです。それ以上の年齢になると、今度はすぐにはバレないような巧妙な嘘をつくようになっていきます。

実際には個人差があるかと思いますが、だいたいどのくらいの年齢でどのような嘘をつくようになるのか、年齢別にみてみましょう。

【年齢別 習得する嘘の例】

幼年期嘘をついている自覚はなく、想像を事実として話したりします。
意図して嘘をつく場合は、矛盾のないストーリーを作り上げる力が充分に備わっていない為、嘘に嘘を重ねるのはまだ難しいようです。
●空想や願望の話をする
●いたずらを隠すために小さな嘘をつく など
6~10歳頃様々な目的で嘘を使い分けられるようになってきます。
思考も発達し、すぐにはバレない巧みな嘘をつくことも可能となってきます。
●叱られないようにする為の嘘
●他者の気を引くための嘘
●自尊心(プライド)を守る為の嘘 など

10歳頃~思春期
        
親へ隠し事をするようになってきます。
知られると恥ずかしい事・都合の悪い事を隠すだけではなく、親に心配をかけないようにする為に嘘をつく場合もあります。

他の子との関わりの中で、悪意のある嘘や他人をからかう嘘、周囲を和ませる冗談を覚えることもありますよ。

嘘の種類を知る

嘘には大きくわけて、2種類あります。想像や思い込みなどによる「結果的な嘘」と、本人の自覚がある「わざとつく嘘」です。

【想像や思い込みによる嘘の例】
●「昨日、遊園地に行ったよ」と言う。
 → 就寝中に見た夢の話。

●「自転車買ってもらうんだ」と言う。
 → 約束はしておらず、「買ってもらいたい」と願っている。

●「友達は後で来るよ」と言う。
 → 本当に来るかどうかはわからず、「来るかもしれない」と想像した。

●「犬は空を飛ぶよ」と言う。
 → 「犬が空を飛ぶ」という空想をした。

●「りんごは緑色だよ」と言う。
 →事実を中途半端に誤って覚えている。

幼いうちは、「夢で見た」とか「こうだったらいいな」とか、そういう前置きをしないで、いきなり内容を話し出しちゃったりしますよね。

間違って覚えた情報を「これが正しい!」と思い込んで、人に話してしまうこともありますね。正しくは「誤認」にあたりますが、聞く人によっては嘘になってしまうケースです……

【わざとつく嘘の例】
●人間関係をよくするための嘘
 →相手を怒らせない程度の軽い冗談 など

●他者のための嘘
 →いたずらの犯人をかばう など

●利益を得るための嘘
 → 「もらっていない」と言ってお菓子を余分にもらう  など

●叱られないようにするための嘘
 →夜更かしの理由を「勉強していた」と言う など

●見栄を張るための嘘
  →できないのに「逆立ちが得意」と言う など

●他者の興味を引くための嘘
 →具合が悪くないのに「熱がある」と言って心配させる など

●保護者への「試し行動」の一環としての嘘
  →本当はできる事でも「自分でできない!」とわがままを言う など

同じ「熱がある」という嘘でも、学校に行きたくなくて言う場合と、母親の気を引こうと言う場合とでは目的が変わってきますね。

試し行動とは?

保護者などに対して、「どこまでなら自分が受け入れてもらえるか」を試す行為です。すぐにばれる嘘をついたり、相手が嫌がる言動をしたりすることで、相手がどのように反応するか/反応してくれるかを確認するのが目的とされています。

嘘には「理由」と「原因」がある

一言に「嘘」といっても、人を怒らせる嘘から誰かのためにつく嘘まで、種類は様々です。
「エイプリルフール」など、大人も嘘を楽しんだりしますよね。
全ての嘘に対して腹を立ててしまうわけではありません。

人が嘘を嫌がるのは、嘘に悪意を感じたり、「自分さえ良ければいい」といった身勝手な考えを感じたりした時ではないでしょうか。

並べられた言葉よりも、「嘘をついた理由」に怒るわけですね。

じゃあ……、子供がわざと人を心配させるような嘘をつく時がありますよね? ああいった嘘の理由は何でしょうか?
ただのイタズラですか?

それが、そうばかりとは限らないんです。
複雑な心の動きが、嘘の裏側で働いているかも知れないんですよ。

ただのイタズラ目的ではない場合、嘘には子供からの重大なメッセージが含まれている可能性があると言われています。

それは、「不安」や「恐れ」です。

不安や恐れの気持ちが「原因」となり、SOS信号の発信のように、つい嘘をついてしまうこともあるようです。 トラブルやストレスなど、「言えないこと」の代わりに嘘をつくのです。
人間関係が複雑になってくる小学校中学年頃からは、いじめなどのトラブルを隠そうとして、つじつま合わせの嘘をつくことも考えられます。

子供の嘘が多いな……と感じたら、どんな理由からその嘘をついているのか、または背後に不安や恐れなどの原因が潜んでいないかなど、気にしてみて下さい。
身勝手な理由からの嘘であれば叱り、ストレスやトラブルなどの原因があればサポートしましょう

子供の成長と共に、嘘の種類だけでなく背景もどんどん豊富に、そして複雑になっていくようです。
その時々に応じて対応してあげたいですね!

発達障害と「嘘」

発達障害と「嘘」は関係ある? ない?

子供が嘘をつくことに、発達障害は関係あるのでしょうか?

調べてみましたが、発達障害が嘘の原因であるという情報は得られませんでした。
発達障害と「嘘」には、今のところ直接的な関係は無いようです
決して、発達障害があるから嘘をつくわけではないのです。

ですから、他の子供と同様に、成長の過程で嘘を覚え、理由と原因があってはじめて嘘をつくと考えて良いと思います。
他の子供の場合と同様に、身勝手な理由からの嘘であれば叱り、ストレスやトラブルなどの原因があればサポートが必要である事に、違いは無いでしょう。

しかし、生まれつき持っている特性次第では、子供が置かれている状態が 「嘘をついてしまいやすい状況」や 「嘘をついたと誤解されやすい状況」に近くなってしまう可能性はあります。

嘘の背景には、子供ひとりひとりの状態が密接に絡んできます。
直接的な繋がりこそありませんが、嘘への対応や対策をする上で、ケースによっては発達障害がストレスやトラブルの元となっている可能性にも考えを向けなければならないでしょう。

また、発達障害の特性によっては物事の捉え方に違いがあるため、叱り方などに特性に合わせた工夫などが必要になってくる場合もありそうです。

「嘘」に繋がってしまいかねない特性は?

発達障害を持つ子供が嘘をついてしまった時、そこにはどのような形で特性が関わってくるのでしょうか?
対策を見つけるためにも、いくつか例を挙げてみたいと思います。

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その前に、ひとつお願いがあります!

※ お願い ※
「嘘をつく」ことには、子供の置かれた状況や、その子自身の考え、周囲との関係など、たくさんの要素が関わってきます。ひとりひとりで、環境も性格も全く異なります。
ここに挙げた特性と同じ特性を持っているからと言って、一概に当てはまるとは限りません。あらかじめご留意頂ければと思います。

誤った情報を人に伝えてしまうかも……

【特性の例】
● 人の話を集中して聞くことが苦手
● 思い込みが強い
● 思った事をその場で口にしてしまう など

最後まで話を聴けずに誤った認識で情報を覚えてしまったり、一度得た情報や想像したことをなかなか変えられなかったり、じっくりと正誤を考える前に発言してしまう事もあるかも知れません。

そのため、誤った認識のまま他の人に情報を伝えてしまい、結果的に「嘘をついた」と思われてしまう可能性があります。

間違った要求の伝え方をしてしまうかも……

【特性の例】
● コミュニケーションが苦手 など

コミュニケーションの取り方が苦手などの原因で、要求をどう伝えていいかわからずに嘘を使う手段を取ってしまう可能性もあります。

嘘をつかれる人の気持ちに気付かないかも……

【特性の例】
●他者の気持ちに気付くのが苦手 など

他者の気持ちに気付きにくい場合は、自分が嘘をつくことで相手がどれ程傷つくかわからずに「嘘をつく」選択をしてしまう可能性もあります。

「嘘をついた後のこと」を考えるのが苦手かも……

【特性の例】
● 先の事を考えるのが苦手 など

「嘘をついた結果、後でより叱られる」などの未来を考えることができずに、その場しのぎの対応に「嘘」を選択してしまう可能性もあります。

「叱られたくない気持ち」がとても強いのかも……

【特性の例】
● 聴覚過敏により大きな声が苦手
● 予想外の出来事が苦手
● 一対一の会話が苦手   など

感覚過敏のひとつである「聴覚過敏」は、怒鳴り声に大きな苦痛を感じる場合があります。
また別の特性では、予想外の出来事への切り替えがうまくできずにパニックを起こしてしまったり、コミュニケーションが苦手なために一対一で問い詰められるような状況にどう対処すればいいのか困ってしまったりする場合もあります。

これらが「叱られる状況」への苦痛となり、状況から逃れたい一心で手っ取り早い回避方法としてつい嘘をついてしまうようなケースもあるかも知れません。

聴覚過敏とは?

多くの人が我慢できる程度の音を、耐えられないほど大きな「苦痛を伴う音」として捉えてしまうなどの感覚です。日常的には問題がなくても、ストレスによって発生することもあります。「音過敏」とも呼ばれます。

発達障害と嘘に向き合うためのチェックポイント

わざとついた嘘かどうか

思い込みからの結果的な嘘など、本人には嘘をついたつもりがない場合があります。周囲から「嘘をついた」と思われているだけかも知れません。
どういった状況下で発生した嘘か、まずは冷静に判断しましょう

強い不安・ストレスを感じていないか

特性が原因でうまく周囲に馴染めなかったり、思うように行動できなかったり、学習が困難になっていたりするなどして、日頃から不安やストレスを貯めやすい場合があります。
嘘が子供からのSOS信号ではないかなど気をつけましょう

叱られる回数が多すぎないか

特性を理解されずに何度も理不尽に叱られたりして、ストレスを感じている状態ではありませんか?
日頃から叱られる回数が多いと、叱られる回数が少ない子に比べて「叱られる状況から逃れるための嘘」を覚えてしまう機会も多くなりやすいかも知れません。

「嘘」についてどのように捉えているか

場合によっては、嘘をつくことの不利益に気付いていなかったり、相手の気持ちがわからないまま安易に嘘をついてしまっている可能性もあります。
嘘についてどのように考えているか、お子さんの考えも聞いてみましょう。

「嘘をついた後どうなるか」が予測できているか

物事を関連付けてとらえる事が苦手であれば、「叱られたので嘘をついて逃げる」事と「嘘がバレると叱られる」事を結びつけて予想できていない場合もあります。
「嘘をついて一時的に逃げることに成功しても、後でより叱られる。だから叱られた時に嘘をついて逃げるのは損だ」など、流れを一本化して不利益があることを伝えると理解してもらいやすいかも知れません。

叱られる際に、過度の苦痛を感じていないか

叱られる状況そのものが大きな苦痛であったりするなどして、お子さんは「自分を守るため」にやむを得ず嘘をついてはいませんか?
手段は間違いかも知れませんが、その子が苦境の中で獲得した「社会を生き抜く知恵」なのかも知れません。
叱られる時にどのような感覚があるのか、落ち着いて話ができる機会に、お子さんの感じ方を聞いてみましょう。

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発達障害の有無だけに限らず、まだ成長段階にある子供は状況への対応や「嘘」の扱いに不慣れです。
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時には焦らずにゆっくりと成長をうながし、見守る事も大切かも知れませんね!

嘘への対応と対策

子供の嘘には、たくさんの理由や原因、子供なりの言い分があります。
対応も、その時々の状況に応じて変えていく必要があるでしょう。

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そこで、多少ではありますが、できるだけパターン別になるように対応策を並べてみました!
よろしければ参考にしてみて下さい。
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あくまで一例です。
発達障害のあるお子さんの場合は、それぞれの特性に合わせて伝え方の工夫など行って下さいね!

※ ご注意 ※
この記事でお伝えする内容は参考程度に留め、実際のお子さんの様子を確かめながら、その時々の状況に合わせて対応を行って下さい。
不安があれば、お子さんの通う保育園/幼稚園や学校の先生、かかりつけの保健士や医師、お住まいの地域の窓口などと相談して対応を進めて下さいね。

パターン別、嘘への対応例・対策例

想像・空想・願望を現実のこととして話す場合
誤った情報を真実と思い込んだまま口にする場合


対応例
   
すぐに叱ったりせずに、冷静に事実を確認する

対策例
問題が無い程度であれば見守る。 どういった状況下で情報を得ているかを確認する。

幼少期で想像や空想が元となっている場合は、成長と共に「想像」と「現実」の区別が次第にできてきて、こうしたケースは自然と減っていくようです。
想像や空想をすることは幼少期の大切な成長の一面です。問題が無い程度であれば見守りましょう

「きちんと確認していない情報を伝えると、困る人がいる」ことを教えたり、その情報が本当に正しいかどうかを一緒に確認して誤りを解いたりするなどするのも良いかも知れませんね。

自分の利益のための嘘
失敗を隠すための嘘
叱責を逃れる為の嘘の場合


対応例
   
「嘘をついた理由」は厳しく問い詰めず、「結果的に起こったこと」や「起こると困る出来事」を諭す。

対策例
「次からはこうして」など、「嘘をつく」以外の方法を指導する

他者を騙して利益を得ることを覚えてしまった場合は心配ですね。
自分の利益を得る為だけに嘘をついたことがハッキリしている場合は「それはダメ!」と叱り、社会のルールを教える事も必要でしょう。

「欲しい」「こうしたい」等の要求をどう伝えていいかわからずに嘘を利用する手段を取ってしまっている可能性もあるので、叱る事とは別に「嘘をつくのではなく、こう伝えて」と代わりの手段を教えることも必要となるかも知れません。

他人の興味を引くための嘘
見栄を張るための嘘


対応例
   
「何かあったら心配する」という姿勢は示すが、大げさに反応し過ぎないようにする。
嘘で報告された成果は褒めず、その子自身が本来持っているものや、実際の行為を褒める。

対策例
嘘をついていない時に、普段から心配したり褒めたりする。
他に得意な事を見つけ、そちらを伸ばせるようにサポートする。

不安や自信の無さから嘘をついている可能性があります

これらのケースでは、「嘘をつかなくても保護者は見てくれている」などの安心を感じたり、本来の自分を褒められたり、得意なことを見つけるなどして自信を持ったりすることで、嘘をつく必要性が少なくなっていくようです。

安心と自信を感じられる環境を作ってあげましょう。

「試し行動」の一環としての嘘の場合


対応例
   
ダメなものは「ダメ」と叱る。
できることは自分でやらせる。

対策例
普段の会話やスキンシップを心掛ける。
「ちゃんと見ているよ」と感じられるようにする。

「試し行動」は、保護者の愛情が自分に向いているかどうか不安な時などに起こるそうです。
そのため、保護者が愛情を示すまで収まらない場合があります

かと言ってむやみに受け入れれば良いわけではなく、「あなたの事は好きだよ。でも、ダメなものはダメ」ときちんと伝える対応をとることが良いそうです。

すぐにバレるような嘘をつく時は「嘘だ」と見破って欲しいのかも知れません。
保護者に甘える一方で、「悪いことは悪い」と叱ってもらいたい、という複雑な心理が働いているのかも知れませんね。

様子がおかしいと感じたら

成長しても自覚の無い嘘をつき続ける・頻繁に被害妄想的な嘘をつき続けるなどの場合は、嘘の原因が精神的な不調にある可能性もあります。
おかしいと感じたら専門医への相談を視野に入れることも必要かも知れません。(ストレスによる現実逃避や、虚言癖、パーソナリティ障害など)

虚言癖とは?

嘘をつくことが癖になってしまっている状態のことです。自覚のある嘘を繰り返すうちにそれが癖となってしまい、そのうち罪の意識もなく無意識に嘘をつくようになってしまう等の症状があります。「パーソナリティ障害」に分類されることもあります。

パーソナリティ障害とは?

かつては「人格障害」とも呼ばれていました。統合失調型、境界性、反社会性、自己愛性、回避性、強迫性など多種類に分類され、行為によって問題が発生していても自身ではコントロールすることができないとされています。

参考元:みんなのメンタルヘルス(厚生労働省)

~虚言癖やパーソナリティ障害の不安があれば~
精神の不調は専門の医療機関の他、
全国の保健所・各市町村の保健センターで相談を受け付けてくれます。

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【外部リンク】みんなのメンタルヘルス(厚生労働省)
「地域にある相談先」のページ

発達障害がある場合は、叱り方にも気をつけて

子供を叱るのは大変です。
ひとりひとり性格も環境も異なるのですから、同じ叱り方をしても効果がある・無いはその子その子によって変わってくるでしょう。

発達障害によって特性を生まれ持った子供たちは、あらゆる個性に富んでいます。
周囲の子供たちと同様に、あるいはそれ以上に、個性に合った叱り方を見つけていかなければならないでしょう。

発達障害の特性を考えずに一様に叱るだけでは、「なぜ叱られたのか」が理解できない可能性もあるのです。

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叱る時、お子さんはどのような様子でしょうか?

聴覚過敏で大きい声で叱られる事が苦手な子は、大きな声に耐える事で精いっぱいで、叱られている内容にまで心を向ける余裕が無いかも知れません。

物事をつなげてとらえるのが苦手な子は、叱られる理由と叱られている状況が、頭の中で繋がっていないかも知れません。

集中して話を聞くことが苦手な子は、周囲に気が散ってお説教をしっかり聞くことができていないかも知れません。

お子さんが落ち着いて話を聞けるように、特性に応じた叱り方・伝え方を見つけてみましょう。

対面しての会話が苦手なら面と向かわず横並びに座って諭す、感情を抑えた静かな声で語り掛けるように諭す、などの方法はいかがでしょうか?

口頭での注意を聞くのが苦手なお子さんでしたら、絵や図を使って視覚的に「何がいけなかったのか」を説明すると理解してもらいやすそうですね。

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工夫次第で、伝わり方はグッと変わります!
嘘への対応・対策と合わせて、「これがウチの子に合っている」を見つけてみて下さいね!

たくさん褒めよう! 「嘘をつかないでいいよ」と伝える環境づくり

子供が嘘をついた時にその場で対応するのも大切ですが、日頃から安心できる環境を整えておくこともできます。
ストレスや不安を減らしたり、叱り方を工夫したりして、お子さんが嘘をつかなくても良い環境をつくってあげましょう。

褒めて「安心」を育てる環境へ

褒める事で、ストレスや不安を軽減する

ストレスや不安が嘘の原因となっている場合は、これらを感じにくい環境にすることで嘘も減らせるのではないでしょうか?
とはいえ、全てのトラブルを事前に察知して対処することは難しいですよね。

そこで、安心を育てるのはいかがでしょうか。
お子さんが自分に自信を持てるように、日頃から機会を見つけて褒めてあげる、得意なことなどがあればそちらを伸ばすなどです。

保護者にたくさん褒めてもらう事は、お子さんの自信に繋がるでしょう

本来の自分を褒められれば嬉しくなり、得意なことをどんどん伸ばしていってくれるかも知れません。
それを褒められる事で、更なる自信に繋がるのではないでしょうか。

保護者からの褒め言葉は、子供にとっては、良い方向へと連鎖していく魔法の言葉のようなものです。
お子さんが自信を持つ事で安心が育ち、不安が減ると良いですね。

苦手の克服に成功したら、褒めましょう!

もし発達障害による特性の苦手がストレスなどの原因になっている可能性があれば、療育などの支援を利用してみることもひとつの手段です。

苦手にチャレンジする事はとても勇気がいります。
その過程を褒めてあげることも大切です。
お子さんがチャレンジした事を、まずは褒めてあげましょう。

お子さんが頑張って苦手を乗り越え、できることが増えた時には、たくさん褒めてあげて下さい
苦手が少なくなってストレスが軽減されるばかりでなく、あなたからの安心をもらう事で、もっと頑張れる力に変わるかも知れません。

あなたの褒め言葉が自信となり、次の困難を乗り越えるための力に繋がっていくでしょう。

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家庭内の対応だけでは難しいと感じたら、学校や地域の相談窓口、支援を行っている団体などに相談してみましょう!

日頃からの心掛けでできること

「子供自身」を非難しない

ついやってしまいがちなのが、嘘と子供を一緒に叱る事です。

「嘘をつく子は嫌い」「失望したよ」などの非難の言葉は、子供の受け方によっては、「親に嫌われた」「見捨てられる」と感じて傷ついてしまう恐れがあるようです。
「自尊心が傷つく」→「見捨てられる不安から嘘をつく」の繰り返しにおちいってしまわないよう、ここにも安心を加えてみましょう。

「嘘をつくのは良くなかったね」など、嘘をついた子供ではなく行為だけを叱るようにすると良さそうです。

自然と頭ごなしの印象が軽減され、叱られるお子さんの方も落ち着いて話を聞くことができるようになるかも知れません。

子供の言い分を聞く姿勢を持つ

子供が嘘をついても、まずは冷静に状況を確認するようにしましょう。

子供には、子供なりの言い分があるでしょう。
無理に聞き出す事はしない方が良さそうですが、「いつでも聞くよ」と姿勢を示すだけでも安心感を与える事ができるかと思います。

「言い分を聞いてくれる」とわかれば、次からはお子さんの方から理由を話してくれるようになるかも知れませんね。

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話を聞くのが難しい場合は、一度に聞かずに少しずつ話を引き出したり、日頃の会話を多くして何気ない雑談などからヒントを得ましょう!

【思春期以降は……】
保護者が無理に事情を聞き出そうとすると、かえって親子関係がこじれてしまうこともあり得ます。
保護者には話しづらくても他人ならば悩みを打ち明けてくれるかも知れないので、スクールカウンセラーなど、第三者を交えての対応も考えてみて下さい。
その際は丸投げにせずに、一緒に対策を練っていきましょう。

「嘘をつく以外の方法」を教える

将来、活動の場が広がった時のためにも、社会のルールやマナーは身に着けておく必要があります。

今は保護者や先生が性格や特性に配慮して対応できていても、お子さんがこの先出会う人がそれらを理解してくれる人ばかりとは限りません。
状況によっては理不尽に叱られたり怒鳴られてしまったりする場合もあるかも知れませんね。

その時に備えるためにも、「嘘をつく以外の方法」を教えておくことも必要となるでしょう。
落ち着いて話ができるタイミングを見計らって、お子さんが理解しやすい形に置き換えるなどの工夫をしながら伝えてみてはどうでしょうか。

具体的に手段を知ることで不安が少なくなり、嘘をついて逃げようと必死にならなくても良くなるかも知れません。

逃げずに叱られる事ができたら、その事を褒めてフォローすることも効果がありそうです。
叱った後は、「よく頑張ったね」と笑顔で褒めてあげましょう。

保護者から子供への接し方を見つめ直す

ほど良い距離を維持することも、良い環境づくりに欠かせないでしょう。
全く相反することですが、

  • 子供に保護者の愛情が伝わること
  • 過保護になり過ぎないこと

この2つが環境を整えるカギとなりそうです。

充分愛情が伝わらなければ、見捨てられる不安を感じて、子供は嘘をついて保護者の愛情を確認しようとするかも知れません。

心配がかえって過保護に繋がると、心配をあおる嘘をつかれた時に大げさな反応をしてしまうこともあるでしょう。
すると、たくさん反応してもらえる事が嬉しくなって、次々と大きな嘘をつくようになってしまいかねません。

過保護にならない程度に、愛情を示していかなければならないのです

愛情不足と過保護どちらに傾き過ぎてもダメ……なんて、子育てのさじ加減の難しいところですね。
お子さんの様子を確認しながら、少しずつ合わせていきましょう!

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「嘘をついているかも?」と思ったら、少し様子を見ながら反応を返してあげる方がいいかも知れませんね。
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その代わり、嘘をついていない時にたくさん褒めてあげられるようにしたいですね!

褒め方にも気を配りましょう。
むやみに褒めるのではなく、「子供自身」を褒めてあげるのです。

保護者の気を引くためについた「嘘」を褒めるよりも、本来のお子さん自身を褒めてあげる方が、お子さんも嬉しいのではないかと思います。
「自分」を見つけてもらえる事で安心を得られるでしょうし、本当の自分を褒められる事で自信にも繋がるでしょう。

保護者のリラックスも大切に

叱ることや教え諭すことには、大きなエネルギーが必要です。
気持ちに余裕が無ければ、嘘にひとつひとつ丁寧に対応してゆくのも難しいでしょう。

保護者だって人間です。
感情がつい高ぶってしまう事もありますし、子供を心配するからこそ深く叱り、時には社会のルールを教える為にあえて厳しくしなければならない事もあります。
疲れて上手く叱れなくなってしまう事もあると思います。

そんな時はリラックスすることも大切です。
保護者の方も、自分を褒める時間を作りましょう。

疲れてしまったり、困ってしまったりした時は、周囲の助けを借りることも選択のひとつです。
身近に頼れる人がいない場合は、SNSやインターネットなどで同じ悩みを持つ仲間を探してみたり、地域の公共の窓口などで相談してみたりするのはどうでしょうか。

地域によっては一時保育をしてくれる等、保護者の体と心を休めるサポートをしてくれる場合もあります。
(サポートの有無を含め、詳細は地域の公共機関のホームページや窓口でご確認下さい)

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少しお子さんと離れる時間を作ってみることで、気持ちに余裕ができるかも知れません。
リラックスタイムを設けましょう!

まとめ

それでは、これまでのポイントをまとめておさらいしてみましょう。

  • 嘘は子供の成長の証であり、SOS信号でもある!
  • 発達障害の場合は、特性に応じて気に止めましょう!
  • 子供の特性や嘘の種類に合わせて対応を変えてみましょう!
  • 褒めることで自信を育て、安心できる環境を整えましょう!
  • 保護者のリラックスも大切に!

いかがでしたでしょうか?

言葉と共に進化してきた人類には、嘘はとても身近なものと言えるでしょう。
発達障害を持った子供たちにとっても、言葉は想いを伝える重要な手段なのです。

ある程度は叱りつつ見守り、SOSを感じたら全力で応じてあげたいですね!