ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは

ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは、平たくいうと「人間が社会で生きていくために必要な技術を習得するための訓練」です。
本来人間は、社会生活の中で「人にしてはいけないこと」「言ってはいけないこと」、「した方が良いこと」を自然と学びます。

しかし発達障害がある場合、社会生活の中でそうした判断を下すことが難しい場合もあります。
「ルールを守るべきである」ということを自然と学習できたり、周りに合わせることができる場合、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を行う必要はありません。
しかし、周囲の様子から取るべき行動の判断を下すことができない、注意されても聞くことができないなどの困りごとがある場合、ソーシャルスキルトレーニング(SST)は有効です。

例えば、集団生活の中でルールを守ることができないという困りごとがあったとします。
この場合、SSTにおいてはルールを守ることができるようになるため、小さな段階を踏むトレーニングをします。

ゲームにおけるルールが守れない場合には、「ゲームでは負けることもある」「負けても楽しいと感じられる感覚を持てるようにする」「負けて悔しくて自分の感情をコントロールできるようになる」というスリーステップを踏んで、少しずつ社会性を身につけるトレーニングをします。

ソーシャルスキルトレーニングとは、この例のように日常生活の様々な場面での困りごとにおいて問題解決をするべく対処法を細分化して丁寧に向き合う訓練方法のことを指します。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)を行うことのできる場とは

ソーシャルスキルトレーニング(SST)は、学校や家庭で行うこともできます。
つまり、SSTを行う上で特別な資格は必要なく、普段子どもと接している教師や保護者なら日常生活にSSTを取り入れることができるのです。

ただ、専門家から受けたいという場合は病院や療育センターを利用すると良いでしょう。
民間企業、団体でSSTを行う場合、一回あたりの費用は4,500円から10,000円ほどです。

子どもの特性や支援内容によって適切な支援の場所や実施者は異なります。
専門家からSSTを受けたい場合にはよく吟味しましょう。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)の対象者とは

ソーシャルスキルトレーニング(SST)の対象者は、社会生活を送る中で人と関わることを困難に感じている人全般です。
具体的には、以下の項目に当てはまる人を対象としています。

・人から言われた指示内容を理解、判断することが困難に感じられる
・得意な分野とそうでない分野に大きな偏りが見られる
・自分の行動をコントロールすることが難しい
・他人とコミュニケーションをとることが困難
・運動が苦手
・気分の浮き沈みが激しく情緒不安定である

SSTの中には子どもが受けられるものだけでなく、大人が対象となるものもあります。