今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害の気持ちの切り替え方」です。
気持ちをうまく切り替えることが難しいと、癇癪(かんしゃく)やパニックに繋がることも。しかし、ちょっとした工夫でうまくいくとしたら、試してみたくありませんか?
療育の現場でも取り組んでいる方法をご紹介します。癇癪に至ってしまった場合の対処法についても一緒に学びましょう。
目次
発達障害の気持ちの切り替え方
自閉症スペクトラム(ASD)
ASDの子どもが、気持ちを切り替えにくいのはこんな時です。
予定とは違うことが起きたとき
いつも行くレストランで、いつものメニューを頼もうとしたら、品切れだった。
いつもと同じルーティーンや反復行動を好む傾向にあります。次のようなことを試してみてください。
✔ レストランに行く前に、いつものメニューがない場合もあることを事前に知らせておく。
✔ 予定外のことが起きたときは普段から「ま、いっか!」と口に出すようにする。
次の作業に移らなければいけないとき
絵を描く時間は終わり、他の子は体操をしているのにいつまでも絵を描いている。
いちど集中すると、周りからの声かけが耳に入らないくらい集中しやすい傾向にあります。
また、こだわりの強さから絵を完璧に仕上げたいという思いもあるので、なおさら次の作業に移ることができません。次のようなことを試してみてください。
✔ 次に何をするのか書き出し、見通しを持てるように。
✔ スケジュールの視覚化。(絵カードなどを使う)
✔ タイマーやアラームを利用。
✔ 段階的な声かけを実施。
ASDについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧下さい。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)
ADHDの子どもが、気持ちを切り替えにくいのはこんな時です。
興奮状態から抜け出せない
いつもと違う雰囲気の場所でテンションMAX! 疲れていてもはしゃぐのを止められない。
ADHDには、多動性・衝動性・不注意といった特徴がありますが、多動性が強いと、疲れていても走るのを止められなかったり、一度上がったテンションを自分で下げることができません。
次のようなことを試してみてください。
✔ 日頃から体を動かすようにする
✔ 無視をする(相手にすると余計に興奮する)
✔ 他の楽しいことへ興味を逸らす(場所の移動でもよい)
ADHDについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧下さい。
癇癪(かんしゃく)やパニックが起きたら
自分の意思とは反することを強要されたことにより癇癪を起こすことがあります。
また、強い不安や恐怖を感じることにより、パニックを起こすこともあります。
定型発達児の癇癪との違い
小さな子どもなら誰でも経験がありそうな「癇癪(かんしゃく)」ですが、発達障害による癇癪はちょっと違います。
定型発達 | 発達障害 | |
程度 | 強くても長引かない | 強くてなかなか収まらない |
期間 | 2~3歳をピークに徐々になくなる | 小学生になっても続く |
誰のせいでもない
大脳の前頭前野の働きがうまくいかないため、他人と関わる上で支障がでたり、興奮した感情を自分でうまく制御できません。
対処法
自閉症スペクトラム(ASD)の子どもは、マイルール通りにならないことや自分の期待とは違った結果を受けることにより余計なストレスが溜まりやすいといえます。
また、普段と違う状況において不安が強くなる特性があるため、大声を出す、暴れるなどのパニックに陥ることもあるんですよ。
原因を避ける、排除する
癇癪やパニックの引き金になりそうな状況を避けることが第一です。過去にパニックが起きた状況を分析し、同じ状況になることを避けるようにしてみて下さい。
ひとりになれる場所をつくる
ひとりになれる空間がなければ、段ボールやパーテーションで部屋を間切りするのも良いでしょう。過剰な刺激や情報をシャットアウトし、一旦心を落ち着かせることが大切です。
心が落ち着くのであれば、お気に入りの人形や毛布を抱えるのもいいですね。
他へ気をそらす
癇癪やパニックを起こしていたことを忘れさせるぐらいインパクトの強い何かが必要です。他の楽しいことへ注意を向けさせることができたらいいですね。
刺激を与えずに見守る
癇癪やパニックを起こしているときは、余計な一言が原因で火に油を注ぐことにもなりかねません。
特に、叱ったり、怒鳴ったりするのは逆効果ですので注意してくださいね。
感情のコントロールが出来たら褒める
ちょっと落ち着いたら、感情が溢れてしまった原因について聞いてみて下さい。
自分で落ち着くことが出来たら、たっぷり褒めてあげると良いと思います。
子どもの抑制機能の育て方
子どもの抑制機能を育てることで、気持ちの切り替えが上手くいきやすくなると言われています。
3~5歳に高まりやすいため、早く訓練することで効果がより期待できます。
ストループ課題
あまり耳なじみがないかもしれませんが、紙とカラーペンさえあればできるので、ぜひ試してみてください。
1935年にアメリカの心理学者、ジョン・ストループによって行われた、矛盾についての実験的研究のこと。
「緑」のペンで「赤」と書かれていると、何て書かれているかを聞かれたときにちょっと混乱しませんか?
脳内で認識している色と、文字の矛盾があることにより、判断に時間がかかるわけですが、その訓練が子どもの抑制機能を育てるのに効果があるとされています。
詳しくはこちらの動画をご覧下さい。抑制機能が育つ遊びについても紹介されています。
認知行動療法
理解できることが増えるようになると、自分の考え方や物事の捉え方(認知)を変えることでストレスや感情の高まりを抑制することができるようになります。
絶対に○○でなければ! → まぁ、いっか!
認知行動療法についての詳細は、こちらの記事をご覧下さい。
まとめ
いかがでしたか?
発達障害のあるお子さんが、どんな場面で気持ちを切り替えにくいか、対処の方法についてお伝えしました。
何をやってもダメな時もあるかと思いますが、いつも金太郎飴のように周りの子どもと同じであってもつまらない気がします。
過度の集中力やこだわりの強さは、見方を変えればすごい才能です。「時には皆と違うときがあってもOK」と、サポートする側も気負わずにいたいものです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。