今日も皆さんと一緒に発達障害に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「特定不能の広汎性発達障害」についてです。
昨今「発達障害」に注目が集まり自閉症やADHDなどよく耳にするようになりました。
とは言え、グレイゾーンという言葉があるように明らかな症状や特徴がないと発達障害とは診断されないこともあったり、そもそも発達障害の原因が未だ明らかに解明されておらず、難しい世界だと思ってしまいます。
そんななかで「特定不能の広汎性発達障害」という障害があり、「特定不能」となると難しく感じる発達障害が更に難しく、どんな障害なんだろう?と疑問に思うのは私だけでしょうか。
そこで今回は「特定不能の広汎性発達障害」について調べ、皆さんにもお伝えしていきたいと思います。
目次
特定不能の広汎性発達障害と広汎性発達障害の違いや関わり方とは何?
「広汎性」とは範囲の広いことを意味し、そんな言葉が入っている「広汎性発達障」や「特定不能の広汎性発達障害」って難しすぎますよね。
でも、よくよく調べると実は「特定不能の広汎性発達障害」が意外と未知の発達障害ではないことがわかり、これから準を追って説明していきたいと思います。
特定不能の広汎性発達障害とは?
特定不能の広汎性発達障害はDSM-IV-TRで定義されていた広汎性発達障害の一種です。
DSMとは「Diagnostic and Statistical of Mental Disorders」の略で日本語では「精神障害の診断と統計マニュアル」というものです。精神障害の分類のための共通言語と標準的な基準を提示するものでアメリカ精神医学会によって考えられた書籍です。
DSM-5は2013年5月に出版され、いまのところDSM-5が最新版となっています。
ちなみに特定不能の広汎性発達障害は 「Pervasive Developmental Disorder-Not Otherwise Specified」の頭文字をとり『PDD-NOS』と略されます。
そもそも広汎性発達障害とは何?
自閉症やADHDなどの障害はなんとなくどんなものであるかわかるかと思いますが、広汎性発達障害はどうでしょう。
様々な発達障害の総称「広汎性発達障害」
広汎性発達障害「PDD(pervasive developmental disorders) 」は、①自閉症②アスペルガー症候群③レット障害④小児期崩壊性障害⑤特定不能の広汎性発達障害、の総称です。
しかし、2013年のDSM-5では③レット障害を除く4つの障害が「自閉スペクトラム症」として1つにまとめられました。
広汎性発達障害の特徴は?
広汎性発達障害ではコミュニケーションをとることを苦手とし、独自のこだわりの強さがあり学校や社会生活のし辛さがあります。
- 相手との適度な距離感をとることができない
- その場の空気や相手の感情を読むことができない
- 曖昧な表現を理解しにくい
- 自分のことや周囲を客観的に見ることが苦手
- 柔軟性に欠けており、独自の決まった方法や習慣にこだわりをもつ
- 興味・関心のあることが偏っている
- 同じ動作に没頭してしまう
などの特徴があり、診断や治療にはWAISなどの知能検査をすることがほとんどです。
特定不能の広汎性発達障害の診断基準とは?
広汎性発達障害の特徴がありながらも以下の障害の基準を満たさない場合に「特定不能の広汎性発達障害」が用いられます。
- 他の特定の広汎性発達障害
- 統合失調症
- スキソイドパーソナリティ障害
- 統合失調型パーソナリティ障害
- 回避性パーソナリティ障害
統合失調症とは?
精神疾患の一つで昔は「精神分裂病」と呼ばれていました。 思考や行動、感情に関する症状があり、考えや気持ちがまとまらなくなったり、幻聴や幻覚、異常行動などがみられ、感情の起伏がなくなることもあります。
スキソイドパーソナリティ障害とは?
社会的な関わりを持とうとせず一人でいることを好み、時には家族とも疎遠になってしまうこともあります。周囲が自分のことをどう見ているのか気にせず、感情の平板化も特徴的です。
統合失調型パーソナリティ障害とは?
人と関わろうとせず親密な関係を築くことを嫌ったり、関係を築く能力の低さもあります。他のパーソナリティ障害に比べ、妄想的な思考や話しをしたり行動や話し方、感情表現に奇妙さがあると言われています。
回避性パーソナリティ障害とは?
自分に自信がなく社会的に不適合であり、失敗や笑われたり傷つくことを極端に恐れています。そのため人との関わりや課題への挑戦を避け、孤独を選んでしまう傾向にある障害です。
社会面でもプライベートな面でも消極的で登校拒否、出社拒否になってしまうこともあります。
特定不能の広汎性発達障害の特徴ってあるの?
広汎性発達障害だけでも様々な特徴があり、当然ながら特定不能の広汎性発達障害でもその特徴は一人ひとり違うものとなりますが、一説によるとその特徴の程度は他の広汎性発達障害よりも比較的軽度であるとのことです。
日本ではどれくらいの人が診断されているの?
日本では他の発達障害と比べ特定不能の広汎性発達障害と診断されることがとても少なく、あまり研究もされていないのも事実です。
その理由として日本では特定不能の広汎性発達障害が「アスペルガー症候群」として診断されているのではないかと言われています。
特定不能の広汎性発達障害の治し方のヒント!
いろいろと調べた結果、特定不能の広汎性発達障害のためだけに有効な治療というのは存在しないようです。
そもそも前述したように、現在「特定不能の広汎性発達障害」は『自閉症スペクトラム障害』としてくくられているため、治療の基本はやはり『自閉症スペクトラム障害』に準ずるものになっています。
そこで医療機関へ行かなくても日常生活のなかで簡単にできる、発達障害の治し方についてお伝えします。
治療という名の「療育」が大切
こだわりが強い発達障害児では何かの遊びに夢中になっていれば、例えご飯でもその手を止めることなく遊びに没頭し続けることもあります。これは食事時だけでなく、もう寝なければならない時間でも同じことがあると思います。
そんな時でも親は「この子は発達障害があるから仕方ない」と諦めず子どもの遊びを中断させてきちんと席に着かせるしつけをしたり、就寝時間になれば布団に入らせ十分な睡眠時間を確保する必要があるからです。
子どもが安心できる家庭環境を作りましょう
子どもの頃の記憶として両親がケンカしていて、その場に居合わせた時に子どもながら「なんか雰囲気悪いな」「嫌だな」「ここにいたくないな」って感じたことありませんか?
発達障害児をもつ両親はその子どもの育て方の難しさから、お互いがストレスを抱え衝突しやすいこともあるかと思います。
そんな両親の不仲な場面を見て、なんだか不安に思ってしまうのは発達障害の子でも一緒であり、不安な気持ちから発達障害特有の問題行動を起こしてしまうこともあります。
子どもにって最も必要な「安心できる環境」を意識して作ってあげましょう。
子どもの特性や自主性を尊重して個人・集団内で遊ばせよう
発達障害児は一人遊びが好きで永遠とその遊びに没頭できたりしますが、それはそれでその子が好きなこと、関心のあることがわかり良いことだと思います。
しかし、一人でばかり遊んでいると「他の友達に合わせる」協調性や「話し、ふれあう」というコミュニケーション能力が低いままになってしまう恐れもあります。
発達障害児にとってもグループに属し遊ぶということは、大切な仕事の一つであり社会生活を知る良い場面になるのです。
まとめ
いかがでしたか?「特定不能の広汎性発達障害」は調べてみると『自閉症スペクトラム障害』に属しているため、あまり聞くことがなかったんですね。
診断基準もなんだか難しいためどんな治療をするのかと思えば、ベースはほとんど他の発達障害と同じで何だか安心です。
“治し方のヒント”をご覧いただけるとわかるように、たまにしか行かない病院での治療をするよりも、日ごろから生活の中で親子でトレーニングする方が発達障害の症状が良くなる傾向にあります。
まずは子どもの規則正しい生活を構築し、健康的な体を整えながらその子に合わせた教育やしつけを行っていきましょう。
発達障害児同士で遊べたり親同士の情報交換や交流ができる場所は放課後等デイサービス・アレッタもあります。子どもさんた楽しく過ごせる場所、親御さんにとっては安心して預けられ、相談もできる情報交換の場所としてもお気軽にご利用いただけたら幸いです。