今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害児の兄弟が抱えるストレスについて」です。
きょうだい児の心のケアを怠ってしまうと、身体的、もしくは精神的に問題が出てしまうことがあります。
ストレスの原因を知り、関わり方に工夫をすることで、きょうだい児の負担を減らしてあげましょう。
目次
発達障害児の兄弟にはどんな悩みやストレスがあるの?
不安や戸惑い
自分のきょうだいが周りと違うことに気がつきだすと、戸惑いを感じたり、一緒に遊ぶことが難しくなったりします。成長の差が大きくなると、自分の方が年下なのに立場が逆になっているように感じることも多いようです。
また、年齢が進むにつれ親が亡くなった後のことや、将来のことに見通しがつかず、漠然とした不安を抱くようになります。
社会人にもなると、自分を第一優先に考えて自由に意思決定することが難しく、きょうだい児としての立場で決断しなくてはならないことが増えるため、仕事選びや結婚に障壁を感じる人もいます。
寂しさや孤独感
親が発達障害のあるきょうだいの方に注意を向けすぎていて、自分のことは誰もみてくれていないと感じていたり、周囲から理解されにくく、相談もしづらいという孤独感を抱えています。
怒りや嫉妬
発達障害のあるきょうだいから、嫌がらせをされて喧嘩になるケースはよくあるようです。また、仲裁にはいる親が発達障害のある方を特別扱いして庇ってしまうことが多いと、不公平さによる不満、親を奪われたという嫉妬心や悔しさといった感情が生まれてしまいます。
きょうだい児はいつも優先順位が低いので、話をじっくり聞いたり、悩みについて相談してもらえる機会が少なくなってしまいます。
恥ずかしさや罪悪感
周りからからかわれたり、好奇の目でみられることがあると、発達障害児のきょうだいがいることに恥ずかしさを感じるようになります。できるだけ気づかれないようにしたり、きょうだいの存在すら隠すこともありますが、そんな自分に罪悪感を抱えていたりします。
プレッシャー
自分は発達障害ではないのだから、もっと頑張らなくてはならないと感じたり、親に負担をかけまいと「いい子」でいなくてはならないという優しい思いから、我慢することが増えていつの間にか大きなストレスを抱えていることも珍しくないようです。
自己肯定感の低下
親から構ってもらえないことで、自分は必要ない、価値のない人間だと感じてしまったり、自信をなくしてしまうことがあります。
どのように向き合うか
きょうだい児が抱える悩みやストレスがわかったところで、どのように向き合い、かかわっていけばよいのでしょうか。
親、きょうだい児、それぞれの視点からみていきましょう。
きょうだい児と親のかかわり
親→きょうだい児
きょうだい児のなかには、親に心配や負担をかけてはいけないと「いい子」を演じることがあります。それゆえに、本当のきもちに気がつきにくいといわれています。
忙しくても、丁寧に話を聞き、抱えている悩みや本音を吐き出させてあげる機会をつくることが大切です。
次にご紹介するYouTube動画のご家族は、自閉症スペクトラムの兄と、そのきょうだい児がお互いストレスをためないで暮らしていく工夫をされています。いつも兄弟一緒ではなく、たまには親と子が1対1になれる時間や、自分ひとりだけの時間をつくってあげたいですね。
きょうだい児→親
疑問に思ったこと、悩んでいることは何でも吐き出すことが大切です。ひとりで抱えたりせずに相談しましょう。また、家族に相談しにくい場合はきょうだい児の会へ参加することもできます。
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、現在はオンラインイベントが中心となっています。(21.06現在)
障害者のきょうだいが集まって悩みや自分の気持ちを打ち明けたり、他のきょうだい児との交流を通して当事者にしか分からない気持ちを共有する場所です。学生からお年寄りまで、幅広い年齢の人たちが参加します。
また、SNSを通じて自分とおなじ境遇の人とつながり、悩みを共有することもできます。
きょうだい児と発達障害児のかかわり
きょうだい児と発達障害児のコミュニケーションには、どのような問題があるでしょうか。
✔ことばが通じない
✔気持ちがわかってもらえない
✔こだわりが強いので一緒に遊ぶのが難しい
など、様々な問題があります。次のYouTube動画では、自閉症スペクトラムの弟をもつ長男の本音について語られています。
受け入れ歩み寄ることも大切ですが、全てを背負い、がまんしなくてもいいと思います。自分ひとりだけの時間を確保するようにしましょう。
それぞれが自立し、それぞれが幸せな人生を送れたらいいですね。
きょうだい児のストレスによる症状と改善策
きょうだい児や発達障害児の年齢や性別、障害の程度、きょうだいの人数、両親の性格、家庭環境などにより、抱えるストレスや症状は様々です。ほとんどストレスを感じていない場合もあれば、深刻なストレスを抱えている場合もあります。
さまざまな症状
身体的症状 | 倦怠感、慢性的な眠気、夜尿、円形脱毛 など |
精神的症状 | 気分の落ち込み、鬱、情緒不安定 など |
行動的な問題 | 赤ちゃん返り、不登校、暴言、暴力、反抗的な態度 など |
きょうだいのパターンと現れやすい特徴
きょうだい児(姉)× 発達障害児(弟)
親が、きょうだい児である姉を頼りすぎることや、本人の責任感や優しい性格から「母親の代わり」となって弟の面倒をみてしまうケースが多いようです。
姉はいい子で優等生に見えますが、自分自身が「こども」でいられる時間が少なくなってしまいます。
表面的には問題なさそうにみえても、押さえている自分の欲求や感情が蓄積して、やがて崩壊してしまうケースもあるので注意が必要です。
姉に頼りすぎないようにするとともに、助けてもらったら感謝の気持ちを言葉と行動で表しましょう。そうすることで、姉の自己承認欲求が満たされ、ストレスを軽減することができます。
きょうだい児(弟)× 発達障害児(兄)
親が兄を第一優先にすることで、甘えたくても甘えられない弟は、そのストレスが攻撃的な言動となって現れる場合があります。
親の注意をひきたい一心で、自分もわがままになって困らせようとする他、自分より年上にも関わらずできないことの多い兄のことを、見下してしまうこともあるかもしれません。
親と弟が1対1で過ごせる時間を確保し、思い切り甘えさせてあげる時間をもつほか、「お兄ちゃんは○○が苦手だけど、あなたは○○が苦手だよね」というように、みんなそれぞれ得意・不得意があって、それが当たり前であることを伝えてみましょう。
きょうだい児のための絵本
小児科医が実体験を元にかいた、きょうだい児におすすめの絵本をご紹介いたします。障害をもつ弟がいる、きょうだい児の気持ちに寄り添った心温まるストーリーです。
ぼくのおとうとは機械の鼻
ぼくの弟は、とっても変なんだ。鼻には機械がついていて、みんな弟のことばかり気にする。そんなある夜、「おにいちゃん」と声がして・・・
「みんながとくべつなひとり」であるという、メッセージが込められています。
みんなとおなじくできないよ
おとうとのことが好きだけど、ちょっと恥ずかしい気持ちもある。そんなグチャグチャな心と向き合って「ボク」がたどりついた答えとは?
きょうだい児と家族の関わり方についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてお読み下さい。
まとめ
いかがでしたか?
きょうだい児は不安、嫉妬、怒り、寂しさなど、様々な感情からくるストレスを抱えています。しかし、親の大変さを知っているが故に、なかなか甘えたり悩みを相談できなかったりします。
親はきょうだい児と1対1で過ごす時間をつくり、ふだん話せない悩みを聞いて、たくさん甘えさせてあげましょう。そして、きょうだい児が手伝ってくれたり、我慢してくれたときには感謝の気持ちを言葉や行動で伝えられるといいですね。
きょうだい児は、自分だけの時間も確保して、なんでも負担しすぎないようにしましょう。親に直接話せないことは、きょうだい児の会やSNSなどを通じて同じ境遇の人に相談するという方法もありますよ。
家族みんなが、それぞれ幸せになりますように。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。