今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害・2次障害」についてです。
「発達障害」という言葉は近年になって耳にする機会も増えてきました。しかし、「2次障害」の言葉や意味をご存知の方は、まだ少ないのが現状です。
この記事は、二次障害から来る影響、防ぐ方法などについて分かりやすく解説していきます。
目次
2次障害とは
2次障害とは、発達障害から来る「生活しづらさ」が原因でストレスを感じてしまい、「うつ」「引きこもり」など精神疾患の発症や、「反抗」「暴力的」な行動を起こしてまう状態のことを言います。
「発達障害で無ければ防げたかもしれない症状や行動」です。
ASD:自閉症スペクトラム障害
- 他人とのコミュニケーションが苦手
- 相手の表情、感情を読み解くことが苦手の為、空気の読めない発言、行動を取りがち
- 興味のあること・ないことの反応、対応が極端
などがあります。ASDに関しては自閉症スペクトラム障害(ASD)とはで解説しています。よろしければご覧下さい。
ADHD:注意欠陥・多動性障害
- 落ち着きがない
- 忘れ物が多い
- 整理整頓が苦手
などがあります。ADHDに関してもADHDとはで解説しています。よろしければご覧下さい。
LD:学習障害
「読む」「書く」「聞く」「推理する」「話す」などが極端に苦手で
- 聞いた話を書くこと、答えることが苦手
- 字を読むことが苦手
- 簡単な掛け算などの計算が苦手
などがあります。LDに関しても学習障害(LD)とはで解説しています。よろしければご覧下さい。
2次障害との関係
発達障害の症状は人によって様々で、症状の重さによっても変わってきます。上に記載した各障害の難しい部分は
「外傷も無い為、見た目では障害と分からない」ことです。
怪我や骨折の場合、見た目から「怪我をした」と認識出来ますので周囲も対応できます。一方、発達障害と診断されるまでは「周囲」は勿論、「自分自身」すらも「障害が原因」と分かりません。周囲から「我が強すぎる」「怠けている」「空気が読めない」と判断されてしまい、「褒められる」ことより「注意を受ける」ことの方が増えてしまいます。
その結果…
- 何故自分は周りの人と違うんだろう。
- 頑張っているのに失敗ばかりだから理解してもらえない。
- 人とコミュニケーションも取れないし難しい。疲れたから、もう誰にも会いたくない。
- よく忘れ物をしてしまい、怒られるから学校(仕事)へ行きたくない。
と心を塞ぎ込み、「うつ」「引きこもり」などの2次障害となる可能性が出てきます。
内在化障害と外在化障害
2次障害は大きく2つに分かれます。
内在化障害
「うつ」や「引きこもり」など自身の内面的に現れる症状で、「不登校」などの原因にもなります。モノに対する依存度も強くなり、1日中スマートフォンを触っていたり、成人の場合タバコの本数が増えたりなど、何かに依存していないと落ち着かない状態となりがちです。
また、情緒不安定の為「世間の目」を必要以上に気にしてしまい、外出も含め、何をするにも億劫となってしまします。酷くなると何も考えることが出来ず、立ち上ることすら難しくなることもあり得ます。
外在化障害
周囲に八つ当たり、暴言、暴行などを取ってしまう症状です。家出や非行なども含まれ、事件に巻き込まれる可能性もあり得ます。
2次障害を防ぐ方法・周囲の理解が大切
そもそも、2次障害の発端は発達障害からのストレスです。学校や職場、家庭での日常生活にある「言葉から」「行動から」「態度から」など主に人との関わりの際に伴う「生活しづらさ」から生まれます。
しかし、発達障害を完治させる治療法は無く、社会に対応出来る「適応力」を付ける為の訓練、治療が行われているのが現状です。
では、防ぐ方法は無いのでしょうか。以下に解説していきます。
周囲の理解
発達障害を抱えた状態でも、社会で生活出来る適応力が求められます。
発達障害を抱える子に合った環境を整え、さらに周囲の人達にも発達障害の理解を深めてもらうことが重要になります。発達障害の知識、対応方法などを共有しておくことで、「生活しづらさ」の軽減に繋がります。
早期発見
発達障害を早期発見し、2次障害へ繋がる前に環境を整える為、5歳児健診というモノがあります。
4.5歳児健診の実績
平成16年度に行われた5歳児健診では、鳥取県内24町村の1069名のうち1015名(94.5%)が受診しました。有所見児のうち助言指導を除いた149名分のデータを解析した結果、注意欠陥多動性障害(疑いを含む)3.6%、広汎性発達障害(疑いを含む)1.9%、学習障害(疑いを含む)0.1%であり、いわゆる軽度発達障害児の頻度は5.6%であることが判明しました。さらに知的発達が境界域あるいは軽度精神遅滞が疑われる児(3.6%)が把握されており、以上をあわせると9.3%という出現頻度となりました。引用先:厚生労働省
ただ、場所や医師、保健師、保育士の確保が必要です。ですので、大規模な為に行えない場合もあり得ます。各自治体にご確認下さい。
小児科、精神科の受診
2次障害の不安がある場合、1人で抱え込まずお近くの医療機関へ相談しましょう。発達障害そのものを完治することは出来ませんが、心理療法や薬物療法などで2次障害からの改善が見込めます。
発達障害者支援センター
発達障害者、そのご家庭をサポートする為の施設が全国にあります。
発達障害者支援センターとは
発達障害者支援センターは、発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的とした専門的機関です。都道府県・指定都市自ら、または、都道府県知事等が指定した社会福祉法人、特定非営利活動法人等が運営しています。
発達障害児(者)とその家族が豊かな地域生活を送れるように、保健、医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携し、地域における総合的な支援ネットワークを構築しながら、発達障害児(者)とその家族からのさまざまな相談に応じ、指導と助言を行っています。引用先:発達障害者支援センター
ただし、地域性の違いなどから、全国で同じ支援が受けれるわけではないのです。また医療機関ではないので診察、検査、投薬などの医療行為は出来ません。相談の前に上記リンクからお近くの支援センターを確認しておきましょう。
障害者自立支援法
発達障害の診察、検査、治療は長期に渡り、症状の重度によって金銭的にも重くのしかかってきます。「金銭面の不安から医療機関へ通院しない」という方もいるかもしれません。
障害者を支援する為の給付制度もあります。
(3)給付の手続き
給付を受けるためには、障害者又は障害児の保護者は市町村等に申請を行い、市町村等の支給決定等を受ける必要があること。
障害福祉サービスの必要性を明らかにするため、市町村に置かれる審査会の審査及び判定に基づき、市町村が行う障害程度区分の認定を受けること。
障害者等が障害福祉サービスを利用した場合に、市町村はその費用の100分の90を支給すること。(残りは利用者の負担。利用者が負担することとなる額については、所得等に応じて上限を設ける。)引用先:厚生労働省
1度お近くの自治体に相談してみることをお勧めします。
まとめ
発達障害からのストレスにより、2次障害が生まれます。「うつ」や「引きこもり」、「暴行」など症状は人によって様々ですが、「生活しづらさ」を抱える人達にとって、社会での生活は通常の人より遥かに困難と言えます。
2次障害の改善は心理療法や薬物療法で見込めるものの、ストレス全てが払拭されるわけではありません。悩みは人それぞれですので、本人とそのご家庭が今よりも「生活しやすい」環境を作っていく為に「発達障害に対する周囲の理解、知識の共有」が不可欠です。
発達障害は完治することが出来ません。活用できる制度、施設などを確認し、今の生活をよりプラスに進めていきましょう。
この記事が、悩みの手助けとなれば幸いです。