皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「発達障害の色へのこだわり」についてです。

自分の色鉛筆など、色のついたものの規則性に異常にこだわったり、特定の色を極端に嫌がったりするのを見ると、発達障害なのではないか?と不安になりますよね。

発達障害の子供との向き合い方を間違えてしまうと、将来大人になってから生きづらさを感じたり、職場になじめなかったりして大変です。

今回は色へのこだわりがある子供のことを理解し、少しでも子供に配慮した生活を一緒に送るために知っておいてほしいことを紹介します。

色にこだわるうちの子供は発達障害なの?

結論から言うと、色へのこだわりだけで発達障害と断定することはできません。
発達障害は後述するように大きく分けると3つの分類がありますが、どの症状にピッタリ収まるという類のものではありません。

従って、いろいろな物事を総合的に見ないといけないので色へのこだわりだけで判断するのは時期尚早ということになります。

発達障害グレーゾーンの社会人も多くいる

発達障害の人は良く共感能力が弱く、コミュニケーションに難があるとか、こだわりが強い人が多いなどと言われます。

しかし、社会でも発達障害と診断されないまま、生きづらさを抱えて生きている人もいますし、コミュニケーション能力は生活の中で徐々に養っていく力でもあります。

また周りに気づかれることもなく普通に溶け込んでいる人もいます。

発達障害はそれだけ「境界」がわかりづらい病気であり、個性と紙一重とも言えます。

色の特定の順番や配置に異常にこだわる子供は?

発達障害の子供はこだわりが強いとよく言われますが、あまりそれが前面に出すぎると学校などで回りの子に引かれてしまったり、喧嘩になってしまったりということがありますよね。

色へのこだわりが強い子供の特徴としては色の順番や配置に異常にこだわりがある、ということが挙げられます。
数多の色が並んでいるものと言えば色鉛筆ですね。

発達障害の子供の中には、色鉛筆の並び順が、自分が理想とするものと一致しないとひどくイライラするということがあるようです。

これは以前聞いた話ですが、ある発達障害の子供は、文房具屋に並んでいる色ペンの配置が気にいらなかったり、ほかの人が戻した場所が嫌で結局全部自分で並べなおす、ということまであるようです。

それはもちろん、かなり時間がかかる作業ですし、そもそもお店でやることでもないですし、周りの人から見れば少し奇怪な行動に移ってしまますよね。

このような子供に対する対応については後述しますが、もう一つ発達障害の子供の『知覚過敏』について知っておいてほしいことがあります。

発達障害の子供は『知覚過敏』故の好みの差異がある。

例えばもし、あなたが自分の子供に普通に話しているとしても、あなたの声が比較的大きければ、発達障害の子供は『怒鳴られている』と感じてしまうかもしれません。

また普通の子供には問題のない明るさの照明であっても、発達障害の子供には『明るすぎてストレス』に感じているかもしれません。

色へのこだわりがあることとは直接的には別の症状になりますが、最近では発達障害の子供は外界の「刺激を受け取りやすい」性質があると考えられております。

それは一体どういうことなのでしょうか。

正高教授の発達障害の子供の色彩感覚に関する研究

Marine Grandgeorge, Nobuo Masatakaらの論文において正高教授は発達障害の子供について次のように語っております。

自閉症というと、他人の心が理解できない、あるいは共感能力が乏しい障害といわれていますが、実はそんなことはありません。環境から受け取る刺激が強すぎることが、生活の大きな妨げになっており、色彩もまたその例外でないことに周囲が配慮しなければいけないという事実を理解していただければ幸いです。

引用:自閉症児は黄色が苦手、そのかわり緑色を好む -発達障害による特異な色彩感覚-

これは、発達障害への深い理解を助ける重要な見解ではないかと思います。

仮に発達障害の人がコミュニケーションが得意ではないとして、それは相手の気持ちがわからないからではなく、『色んなことがわかりすぎるからである』という可能性があることを示しています。

例えばもし、目の前で話している人の心の声まで聞き取ることができたなら、コミュニケーションはむしろ難しくなってしまうのではないでしょうか。

この研究では、正高教授は赤、青、緑など6色に対する好感度を発達障害の子供とそうじゃない子供で調べたデータがまとめられています。

発達障害の子供はそうじゃない子に比べて、緑や茶を好む。

発達障害の子供が性質的にどのような色を好むのか、ということがわかれば、生活の中で色についての配慮もできるようになると思われます。

研究結果は青や赤という一般的に好印象な色は発達障碍児でも同じく人気でしたが、通常の子たちと比べて発達障害児で評価が高かったのが緑と茶色でした。

また逆に黄色は好まれない傾向にあったようです。
これに対する考察として、黄色は輝度が高く、刺激が強いからではないかと述べています。

結論としては比較的刺激の強い色を疎ましく感じるということです。

輝度とは?

輝度はよく明度と一緒に説明される意外に難しい概念ですが、イメージしやすいように言うと『光の量』です。つまり輝度が高いほど白に近く、輝度が低いほど黒に近いというイメージです。だからと言って単純に発達障害の子供が白が嫌い、というわけではありません。

発達障害の子供のほかの症状は?種類はあるの?

生活の中で色にこだわるうちの子供が発達障害なのか?ということはほかの症状なども照合してみなければわかりません。

それについて少し見ていきましょう。

発達障害の種類はどんなのがあるの?

発達障害と言えば、アスペルガー症候群や自閉症、ADHDなどを耳にすることが多いように思います。

発達障害は大きく分けると「広汎性発達障害(PDD)」「ADHD(注意欠如・多動性障害)」「学習障害(LD)」の3つに分類されます。このうち、自閉症やアスペルガー症候群は広汎性発達障害に属しています。

ただ最初にも書いたように、広汎性発達障害とADHDの症状を併発することもありますし、明確に診断できるものではありません。

一般的には『こだわりが強い』のは広汎性発達障害の特徴として知られています。

広汎性発達障害のほかの特徴は?

広汎性発達障害の主な特徴としては下記のようなものが挙げられます。

  • 対人関係の障害、人とかかわることが苦手
  • コミュニケーションの障害
  • パターン化した興味、行動
  • 明らかな認知、言語の発達を伴わない
  • 姿勢、表現方法が独特
  • 暗黙のルールなどを察することができない
  • 冗談、皮肉が通じない
  • 親しい友人関係を構築できない
  • 不器用な場合が多い
  • 周りの人に関心がないように見える。
  • 興味の範囲が非常に限定的
  • 興味のあることについて一方的に話し続ける。
  • 目が泳ぐ。視線が合わない。
  • 自分の決めたルールにこだわり、予定外のことがあるとパニックになる。

これらはあくまでの目安ですので、疑いがある場合は病院などに相談しましょう。
発達障害の種類については下記でより詳しく紹介しております。

色のこだわる発達障害の子供への接し方とその工夫

子供が早い段階で発達障害とわかったら、それに適した接し方の工夫や環境の配慮、考え方をするべきです。
そうすることでその子が大人になった時の苦労を少しでも減らせる可能性があるからです。

発達障害の子供でもそうじゃない子供でも教育は同じ

発達障害の子供でもそうじゃない子供でも教育は同じです。ただその際に少し配慮すればよいと思われます。

小さい子供は基本的に善悪の区別がつきません。また他人の気持ちを想像するということも難しい場合があります。

やってはいけないことはなぜいけないのか?それをすることで回りの人はどのように感じるのか?ということをしっかりと教えてあげるのが第一歩となります。

例えば、先ほどの文房具屋の色ペンを自分好みに並べ替える子供に対しては、①自他の区別を明確にする、②こだわりに対する欲望をいつでも満たせる環境を整えるということが考えられます。

周囲の人がどのように受け取るか?ということを想像させる。

まずはしっかりと子供に言い聞かせる必要があるかと思います。
今回の例でいえば、文房具屋の色ペンを並べ替えるという行為にはどのような問題点があるかということを子供と共有しできればルールにするといいでしょう。

「お店に並んでいるペンは店長のこだわり配置されているかもしれない」
「自分のこだわりを不快に感じる人もいるかもしれない」
「何か理由があってその並びになっているかもしれない」
「ペンを選ぼうとしている人が近づきにくいかもしれない」
「そもそもお店に売ってあるものは自分が所有しているものではない」

上記のように言いようはいくらでもありますし、これらは発達障害じゃない子供でも同じ教育になるはずです。

その際、重要なのは『自他の区別を明確にする』『勝手にやってはいけないことを明確にする』ということです。

『こだわり』を発揮できる環境も準備する。

発達障害の子供はこだわりに対する欲求が強いのでフラストレーションがたまってしまうかもしれません。

そのようなときのためにいくらでも欲望を満たせる環境を家の中に準備するということも一つの工夫になります。

家にある色鉛筆、ペン、絵の具は自由に並べ替えてもいいということで欲望を果たせるようにしておきましょう。

使ったとはあえてバラバラに戻すようにすれば次に使うときもまた並べ替えるところから始めると、子供が満足感を感じられます。

以下におすすめの色鉛筆を一つだけ紹介します。

概要:大人塗り絵用の色鉛筆。172色セット。

金額:3,150円(21/4/17 楽天市場より)

良い点:172色という驚異的なラインナップに3,150円という高コスパです。36色で1500円程度のものもある中ではかなり良いです。

悪い点:逆に多すぎて、並べ替えるのに時間がかかる。

良い口コミ:172色もあり、塗り絵が楽しい!

悪い口コミ:最初開封した際の匂いが若干強い。徐々になくなる。

発達障害だからと親がとらわれすぎないことも大切

何とかしっかり教育しないと、と思うと思わず肩に力が入ってしまう方も見えると思います。しかし、『何とかしないと』と思い切り詰めすぎて、子供へのルール化や要求が多すぎては親子共々疲弊してしまいかねません。

まずは環境を少しだけ見直そう。刺激が強い音や光はないか?

既に発達障害の子供は刺激に対して敏感だ、と紹介しました。
従ってまずは、その子供を取り巻く環境に配慮できることはないか考えてみるのがいいと思います。

普段の生活の中で大きな音や強い光などがないか見直してみましょう。照明の色が白よりもオレンジの電球色のほうがいい場合もあるでしょう。

子供に話しかける際の声の大きさは適切か?ということも考えられます。何が正解かということがあるわけではないので、子供の様子を見ながら試行錯誤していく必要があります。

「こだわり」があることをポジティヴに考える。

何かに対するこだわりがあることは今も昔も全く悪いことではありません。例えば、研究者のような仕事は自身の関心のあることに並々ならぬこだわりがなければできませんし、クリエーターも同じようなものです。

発達障害の子供を持つと、何とかしなければならないという使命感や義務感に追われることもあるかと思いますが、焦りは禁物です。

短所を改善しようとしても中々すぐに結果がついてくるとも限らないからです。それよりはむしろその子供の興味監視が何に向いているのか、どうすればもっと伸ばせるのかということを考えるほうが建設的なように思います。

その子のこだわりが近い将来画期的なものを生み出すかもしれないからです。
そのような考え方が発達障害の子供を持つ親には必要だと思います。

まとめ

どうでしたでしょうか。
今回は色に対してこだわりがある子供は発達障害なのか?ということについて紹介しました。

発達障害故のこだわりである場合もありますし、そうではない場合もあります。また基本的に発達障害の子供は『知覚過敏』である可能性も高いので、環境や接し方には配慮しましょう。

同時に焦りすぎないことやこだわりについてはポジティヴに捉えることも大事です。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。